上医、中医、小医の違い

中国の孫思邈(そん しばく)という医師は、「上医というのは国を治す、中医の医者は人を治す、下医の医者は病を治す」と言っています。
また医を上、中、下に分けて、「上医はいまだ病まざるものの病を治し,中医は病まんとするものの病を治し,下医はすでに病みたる病を治す」ともいわれています。
病気だけでなく、国を治したり、人を治したり、予防の話など昔から人類は気がついていたわけです。
私自身も振り返り、昔は「目の前の患者の痛みをどうするか」ばかり考えていましたが、段々がんや免疫の事がわかるにつれ、「今は大丈夫かもしれないが、あなたにやがて起こる可能性がある病気に対して今からどうやって予防していくか」に変わり、最近では、「微力ではあるが、広く国民に予防と病気に対しての基本的な考え方を広めていきたい」と考えるようになってきた。
昔なら、「この痛みに対して○○をします。効かなければ、△△をします。」と言っていたが、10年ぐらい前から、「この痛みはやがて□□を起こす可能性があります。今からそこも治療しておけば再発リスクを下げられます。」と言いだし、最近は、「あなたの家系は◇◇の傾向があります。おばあちゃんからの影響が大きいです。その症状の特長は□□なので、今からその対策して、万が一に発症した場合は△△を学んでおけば乗りきれます。今から大難を小難に変える準備をしましょう。」と言うようになってきた。
ここまで来るのに40年かかったが、少しだけ近づけた気がする。
最近は患者の症状を見ただけで、家系的な背景から、生き方、どれだけ無理をしているか、性格的な面まで手に取るようにわかるようになってきて、時々、占い師みたいと言われるが、これも全て数をこなしたおかげである。
新型コロナウィルスで影響で国中が大混乱の中、切実に「上医」が求められている。

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