健康格差

以前から「親の年収による教育格差」が言われている。
昔は東大には田舎の秀才がかなり入っていたが、2014年の調査によれば東大生の育った家庭の半数強が、親の年収が950万円以上の裕福な家庭だったという。
本人が頑張れば入れるというより、環境の影響が大きいという事だ。
また厚労省の調査では所得による「健康格差」で所得200万円未満の世帯と600万円以上で歯の本数が違うと言う。
所得によって健康リスクに大きな差が生まれていて、高所得層と低所得層では1.7倍の死亡リスクの違いが高齢者にはあるという。
また高齢者では所得が低いほど、糖尿病になる確率が高くなるという。
高齢者自身の「健康の維持管理には青果、鮮魚、精肉などのバランスの取れた食事が必要」という意識が低く、どうしても比較的安価な穀類や加工食品中心の食生活に偏ってしまう事が起因している。
所得の低い人は時間的・精神的にもゆとりが少なく、多くの食材を使うなど手間を避ける傾向にある。健康に対する自己管理の意識が低くなってしまうと分析されている。
なんとも悲しい現実だが事実である。
では少し今までの経験から「金のかからない医療」の話をしたい。

まず「歯」に関しては、とても重要視している。
以前も「認知症と口腔ケア」でも書いたが、認知症にしても糖尿病にしても、ここは譲れない。
高いインプラントを入れろとは言わないが、口腔ケアを無視して健康になることは不可能である。
出来れば毎月、だめでも3ヶ月に1度ぐらいは歯医者や衛生士に診てもらわなければならない。

次に「糖尿病」だが、安易に加工品に頼ってしまう気持ちは分かるが、腸内細菌をコントロールできれば結果は変わってくる。
最近は短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)の効能がよく話題に上がる。
熟した果物、こんにゃく、海藻、ごぼうなど水溶性食物繊維を含む食品、玉ねぎ、納豆、ハチミツ、ニンニクなどオリゴ糖を含む食品などの摂取により、短鎖脂肪酸が作られる。
結局、「食物繊維」と「オリゴ糖」である。
この食材なら、そんなに高くはない。
意識して発酵食品を摂って頂きたい。

次に「鼻」である。
以前からEAT(Bスポット療法)は何度も書いているが、治療してくれる医者に行っても保険治療で数百円である。
自宅では鼻洗浄を薦めている。

次に、「胃炎」である。
以前から、「胃腸から崩れる」でも書いたが、まず体調が悪くなるのはまず、胃を壊す。
食べすぎやストレス、原因は何であれ胃から始まる。
胃炎を防げれば、腸も元気で、腹圧も上がらない。腹圧が上がれば、腰痛や心臓までおかしくなる。
足に血は行かなくなり、むくみや冷え、坐骨神経痛などは簡単に起こる。
昔から「腹八分」と言っているが、当院では百草丸など、安価で長期服用できるものを先ずは勧めている。

この、「歯」「糖尿病-腸」「鼻」「胃」に意識を向けて頂けるだけでも、結果は変わってくる。
「金がないから健康になれない」と言わなくてもいい世界を作りたいといつも考えている。

image_print印刷する