子供の骨折と親の思い

常連さんの子供が指を骨折した。野球部だったので、試合に出られず、相当悔しがって何とか早く治そうとして色々調べ、酸素カプセルが骨折に効くとの情報を得て、親に行かせてくれと言ったという。親にしてみれば野球一筋に打ち込んでいて、子供の気持ちは痛いほどわかるので行かせてあげるだろうが、こんな時は一言付け加えた方がいいという話を母親にした。「息子さんの一途な野球に対する気持ちは分かる。悔しい気持ちも分かる。野球以外のことは全く考えられないでしょう。例えがいいか分からないが、初恋が駄目になってしまったぐらいの落ち込みでしょう。しかしこういう時に自分で聞いたり、調べたりしたものを手当たり次第に行かせるというのはどうかと思う。本人はもう治りたい一心しかないから、何でもやりたいだろうが、いい治療もあれば悪いのもある。第三者の意見も聞くことを教えてあげないと、どんどん突き進んでしまう。冷静になれないのは分かるが、こういう時ほど他人の意見は大事。今までも人生の3つの坂、『上り坂、下り坂、まさか』と言ってきたが、まさかの時こそ冷静さが大事。これを教えるいいチャンス。」と言ったら、母親も、「そうなんです。酸素カプセルに行かせるのは良いんですけど、色々な人に聞いたら骨折に効果は期待できないと言われてしまいました。本人がカッカカッカしていますから行かせますが、確かにチャンスですね。伝えます。」と言う。この年になると子供の一途な気持ちを想像しただけで、胸が締め付けられる。反抗期の子供なら、「俺の骨折治らなくてもいいのか。折角早く治したいと必死なのに、邪魔をするのか。」と言われそうである。何とも子供の発想だが、やがてこの子も親になれば分かる。親として早く治ることは当然祈っているのだが、子供の未熟な判断と行き当たりばったりだけで問題が解決するほど世の中は甘くないことを学んで欲しいだけである。

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