テニス肘の治らない原因はお酒

紹介で来たテニス肘の方は右肘のみならず、足底腱膜炎、膝痛、肩の痛み、腰までまるでドミノを倒したかのように全て右側が痛いという。問診で話を聞いただけで、「父ちゃん母ちゃん」が思い浮かんだ。おそらく反対側の左側がかなりダメで右側が騒いでいるだけ。試しに左の小指を診たら相当痛がる。これはもう、痛くない左側の器がいっぱいという事がすぐにわかった。試しに右側の指を触ったら、左ほどではないと言う。こうなると父ちゃん母ちゃんを理解して戴くために、痛がっている右側を触らず、痛くない側だけの治療で様子を見たくなる。次に左太腿を診たら典型的な、「スタマックライン」の反応がある。慢性胃炎である。本人に聞いたら胃薬は売薬で飲んでいるという。これはまず胃の治療から始めなければダメだと思いながら、うつ伏せになったもらったらびっくりした。典型的な「甘い物取りすぎ」で何も聞かなくても糖分の過剰摂取がわかる。これは相当酷い。どういう食生活なの聞いたら、「お酒かなぁ?」と言っていた。それ以外にも白米や甘い物はかなり食べているであろう。この反応は胃炎の反応どころではない。これが一番酷い。結局、痛みで騒いでいる父ちゃんを支えるべき母ちゃんに大きな棘が刺さったままみたいな話である。これでは母ちゃんの器はちいさく、父ちゃんはすぐに騒ぐ。こんな状況では痛いところだけ治療しても3-4割痛みは必ず残る。こういう場合はまず、糖分制限で左の背中を楽にして、肘痛の様子を診る。次に胃薬を医者でもらう。そのあと少し、母ちゃんにゆとりを持たせる。そして最後に騒いでいる父ちゃん(右半身の痛み)を治療するのがいい。こういう状況の方は全身拝見しないと原因がわからない。まさか肘痛で来てお酒を指摘されるとは思っていなかったと思う。身体のネットワークとはこういうものである。

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