患者の分かれ道

常連さんが酷い寝違いを起こした。調べてみたら腕のこりが酷く、ストレス性とわかった。話を聞いたら休みの日もバイトをしていてそれを身体が嫌がったのであろう。身体にしたら、「休みの日まで仕事されては休息できない。本人に少し強い首の痛みを出してやる気を削ごう。」といったところだろう。前回治療したらあまりの腕の酷さに全く筋肉が反応しない。筋肉に、「その程度の刺激ではほぐれるものか」といわれているように感じた。完全に身体が拒否している。こういう時は何をやってもダメで、少し薬を使いながら時間を稼ぎながら、筋肉の拒否がすこし減るのを待つしかない。そしてバイトを辞めさせ、身体に詫びを入れると比較的すぐに筋肉は反応する。筋肉も、「分かってくれれば良い・・・」と言った感じである。しかし患者の中には1回治療しただけで効果が出ないと、「あそこはダメ」と言う方は多い。我々から見ると、「筋肉が拒否している時は、まるでだだっこの子供を機嫌を取るようなもの。何を言っても『ヤダ~』と言われて手がつけられない。少し時間をおくと子供も少し反省して以前のようにヤダと言わなくなる。こうなれば受け入れ態勢が出来てきたので治療が効果を現す。」と言いたい。病気にも勢いがあるので、病気が上り調子の時は何をやってもダメである。昔からよく、「風邪の患者で治りかけの時に診た医者が名医」と言われているが、どんな名医でも病気の勢いには勝てない。1回の治療でいい治療かどうか見極めるのは、お見合いを30分だけしていい人かどうか見極めのようなものである。患者の体調にも病気にも波はある。当院で体調管理がうまくいっている人を見ると少し気長に構えている。何事も「急いては事を仕損じる」である。こちらも患者と一緒に年を取りながら、あーでもないこーでもないと言っている方が1番うまく体調管理が出来ている。

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