以前ブログで、「がんは一生消えない」と書いた。我々は、「がんを治すのは先生の仕事、治してもらってすぐに今までの仕事に復帰したい。」と言われるのが一番困る。仕事が忙しいのはわかるが、私の師匠は「あなたがそんなに過酷な仕事をしてがんになった部分もあるわけだから、治療の後は生活を変えなさい。スローライフ。」と指導している。どうしてこういう考え方になるかを考えたら、「雨漏り」と一緒だと気がついた。自宅で雨漏りが起これば不自由なので、屋根屋さんを呼んで修理してもらう。また漏ればまた修理してもらう。「生活に支障があるから直して、代金はちゃんと払うから」という感覚と同じだと言うことである。自分の身体のことなのに何処に他人事で考えている。だから仕事に早く復帰する頭が行ってしまう。「俺は医者じゃないら病気のことはわからない。薬も飲むし、色々な治療も受ける、お金もちゃんと払うから早く治して。こっちは忙しくて責任のある仕事をしているから穴をこれ以上あけられない。多少のお金の事なら何とかするからとにかく早く治して。」が本音であろう。やはり何処か他人事である。完全に眼が外を向いている。自分の身体に向いていない。やはり雨漏りと同じ感覚だ。これがおそらく自分の子供なら同じ事は言わないだろう。「今回病気をやったから少し学校を休んで部活も程々に。」なんて言うのではないだろうか。しかし自分のことになると他人事、何となく感覚はわかるが身体はそれは許さない。病気は自分の身体の中のことで、雨漏りのように外のことではない。
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