難病とおしゃれ

ここ15年位だろうか、難病患者がおしゃれをしていると感じる。もちろん病気をしているからおしゃれをしてはダメと言うことはない。最近の大病院は建物の上の階に展望のいいレストランを作ったり、美容室、ネイルサロンを併設しているところもある。これは一昔前では考えられなかったことである。仕事柄、築地のがんセンターにはよく行くが、おしゃれなカフェもある。抗がん剤で毛が抜けても以前に比べて格好が良いカツラは多い。花飾りがついていたり、色も選べる。先日も特殊な治療を受けているご夫人が、「私は体調が悪いから、おしゃれなど全く気が回らないが、若い患者のおしゃれに驚いてしまった。一体あの人達は何処が悪いのだろうか。本当に病人だろうか?」と思ってしまったと言う。昔なら手術で入院する場合、おしゃれ着を持っていくという事はなかったと思う。最近は持ってきている子も多い。身体がダメだからせめて気持ちぐらいはという感覚だろうが、とても良いことだと思う。身体が悪いからといって心までダメにする必要はない。以前は、「病人なんだからおしゃれなんて・・・」と切り離せなかったのが時代だろうか、病気は病気、おしゃれはおしゃれとなりつつある。やはり豊かな時代なのだと思う。しかしくれぐれも初めて診て頂く場合は厚化粧はお控え戴きたい。顔色や皮膚の感じなどわからず、正しく病状を把握できない。髪の毛を飾る程度にしていただきたい。

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