ここが落とし穴-治らない背中や腰の痛み

長年仕事をしているとある一定数、何をやっても背中や腰の痛みが取れない方がいる。
病院で調べてがんの転移や背骨の問題、腎臓などの原因が判明すれば良いが、一つ忘れてはいけない病気がある。
それは、「大動脈解離」である。
我々の年代だと石原裕次郎さん、三波伸介さん、最近では加藤茶さん、大瀧詠一さん、阿藤快さんなど思い出すが、石原裕次郎さんの場合は慶應義塾大学病院でドリームチームか組まれ、加藤茶さんの場合は大動脈を人工血管に代えた。他の方は亡くなってしまったが、そんなに頻繁に起こる病気ではないだけに確実に見つけることが難しいのは事実である。
背中だと心臓を疑うだろうが、心臓を調べて何ともないと「背部痛・肋間神経痛・腰痛」で終わってしまう。
大動脈解離は大動脈の一部が裂けてそこに血液が流れ込み、破裂してしまうと強烈な痛みに襲われる。
しかし後で痛みが楽になるケースもあるので、本当に怖い。
痛みも背中だけではなく腰に拡がったり移動する。
脊髄に行く血管がやられれば足に力が入らなくなり、腸に行く血管がやられれば腸が動かなくなり、強烈な腹痛が起こる。腸に行く血管がやられれば足に血が行かなくなるので皮膚が真っ白になり、動かなくなる。
しかし中には痛みを訴えない人もいるので、その分知識がないと見落としてしまう。
本当に怖い病気だ。

image_print印刷する