首の痛みで通っている方が、最近調子が良く、65%痛みが取れたという。医者からは「骨棘(こっきょく-骨が変形してトゲのように見える)」と「頸椎椎間板ヘルニア」を指摘されている。当院では「腕の治療」「噛み合わせ」「鼻炎対策」しかやっていないので、「骨棘」と「ヘルニア」には全く手をつけていない。しかし痛みが取れてきたということは、「骨棘」と「ヘルニア」が痛みの原因ではなく、ただ首の状態がそうなっているというだけである。以前も、「骨の変形は悪者?」で書いたが、首の痛みと骨棘は関係がない。しかし医者に行ってレントゲンを撮れば、「あなたの首には骨棘がある。」と言われてしまう。この患者さん、おそらくこのまま、「骨棘」と「ヘルニア」に一切手をつけずに治ると思う。しかし治っても患者は必ず、「私には骨棘とヘルニアがある。」と言うだろう。患者心理に、「病名がつく安心感」がある。何時までも「骨棘」と「ヘルニア」と大事に持っている。たまたま膝が痛くなったときも、「私には骨棘とヘルニアがある。」と言うだろう。我々から見ると病気が好きなのである。それを患者に言うと、「そんな事はありません。」という。症状があって、原因不明というと患者は不安になるが、「骨棘とヘルニアの影響があるかもしれません。」と言うと安心する。これは独特な患者心理である。私は以前、「ドブ理論」を書いたが、ドブのことばかり考えているとドブに落ちる。首の痛みがなくなれば、「骨棘」と「ヘルニア」の事は忘れて良いのに、何時までも患者の心に残っている。最近はこちらも年を取ったので、年配の方には、「そうですね、骨棘とヘルニアありますものね。」と事実ではないことを言ってしまう。この患者の心に残っている問題は当分は解決しそうにない。
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