常連さんが足の小指を骨折してその後腰が痛くなり、ようやくギブスが取れたので来たという。我々から見ると、ギブス後、2週間ぐらいしたら来ればいいのにと思ってしまう。足の骨折なら6-8週間もすればギブスは取れる。その間医者から安静にと言われたので、患者心理として、「ギブスが取れたら腰を診てもらおう。」となったのであろう。骨折後6-8週間もギブスが取れるまで待っていたら、足や腰にどれだけ負担がかかるかわからない。以前うちのスタッフが足を折り、入院中に、「先生、暇なんです。早く治すために何をしたら良いですか?」と聞いてきたので、「普通はギブスを取ってから筋トレだが、折れたところに痛みが出ない程度に筋トレをしなさい。」と指導をした。元々柔道部だったので筋トレは得意で、暇に任せて筋トレをしていたら、ある時からギプスがきつくなってしまった。医者に言って新しく巻いてもらったのだが、「何をしたの?」と聞かれ、「筋トレです」と答えたら、「これだけ筋肉がついていれば、ギプスを取ってからのリハビリはいらないね。」ということになり、骨がくっついたのを診て、そのままリハはせずに退院した。この考えの根本にあるのは「マルチ」である。朝起きて歯を磨いてからお湯を沸かすのではなく、お湯を沸かしながら歯を磨くのである。2つの事が同時進行できる。新幹線に乗りながらご飯を食べながら、パソコン仕事をする感じである。一つずつ順番にこなさなければいけないものは仕方がないが、同時進行できるものは沢山ある。足に怪我をすれば反対側の脚や腰に負担がかかるのは誰でも分かる。骨はある程度の時間が経たなければつかないから、骨がつくまでの時間をマルチにして、反対側の脚や腰の治療をしておく。ギプスが取れたときをゴールにするわけである。この考え方にならないのは、医者に安静と言われた事が大きいのではないかと思う。医者が安静と言ったのは患部だけの事で、腰に関しては関知していない。ちょっとしたずれでリハビリが遅れてしまうので注意が必要だ。
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