常連さんが最近腰の調子が良くなり、鍼を打つととてもスムーズに入る。しかし突然又腰に痛みが出たという。何をやったのか聞いたら、何も思い当たらないという。こういう場合は胃腸関係を一番疑うのでお腹を触ったら、さほど悪くない。まさかと思って、「筋トレでダンベルなんかやっていませんよね」と聞いたら、「やっている」と言う。「腿上げなんかやっていませんよね」と聞いたら、「それもやっている」と言う。「まさか前回腰の調子が良かったので少し筋トレ頑張ったりしてしませんよね」と聞いたら、「頑張ったかも」と言う。つまり、腹筋の上の胸筋は腕を使うと硬くなり、腹筋の下の腿の筋肉は上げると硬くなる。つまり胸筋と大腿四頭筋が筋肉痛を起こしているのだ。これでは腹筋は働けない。本人は筋トレのつもりだが、腹筋にしてみたらいい迷惑である。結局腹筋力低下により腰の器が少なくなってしまった。だから何も思い当たらない程些細な事で腰痛が起こってしまった。「じゃ、筋トレするなという事ですか・・・」と聞くので、「プールのあとうちに来る方は一人もいません。余程身体に良いのでしょうね」と言ったら、「プールねぇ・・・」という返事だった。身体に良かれと思った事が仇になってしまった典型例である。
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