私の師匠が消化器の医者でがん患者ばかり診ているので、その流れで当院にもがん患者がくる。鍼を打ってがんが治るわけではないが、抗がん剤などの副作用の相談、健康食品、免疫を上げる方法などの話はよくしている。特に抗がん剤を使って胃が痛いとか、口内炎が出来たとか、便秘・下痢、節々の痛みや脱毛や手足のシビレなど副作用は多岐にわたる。特に胃が痛い場合、医者から処方された胃薬で十分に効かない場合がよくある。そんな時は担当医に相談すれば良いのだが、医者から「胃薬は一応出しています」と言われると引き下がってしまう患者は多い。「先生、出された胃薬は全然効かないのです。もっと良いのはないのですか?変更とか追加とか?」と粘ると、「じゃ、○○と」言って出してくれる場合がよくある。患者にすれば、「担当医は不親切ですよね。あるなら出して」と言うが、腫瘍内科の先生はがんの事で頭が一杯で、多少の副作用はどうしても軽くみがちである。我々から診ると、口内炎でも胃痛でも関節の痛みでも色々と打つ手はある。手術した先生が、「あれだけの手術を成功させたのだから、多少のことは我慢して。」となってしまう気持ちは分からないでもない。しかし患者にしてみるとその副作用が本当に辛いのである。以前も乳がん術後の患者が手術した側の肩の痛みで酷くて眠れず、医者に相談したら、「え、肩?胸じゃなくて、じゃ整形へ行って」と簡単に言われておしまい。本人にしてみると乳がんはもう取ってあるからいいのである。しかし肩の痛みが酷すぎで今はそれが大問題なのである。頭の中は肩しかない。こうなると我々の出番である。色々な論文も出ているが、鍼やリハビリで十分に対応が出来る。以前ブログでも、「母なるリハビリ」を書いたが、おそらく皆さんが想像している以上に日常生活を快適にする方法は存在するものである。
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