常連さんが運動で腰を痛め、1時間ぐらいの治療で楽なった。しかし本人から、「この腰の痛みは炎症ですよね?1時間の治療で炎症は治まりませんよね。どうして楽になるのですか?」と聞いてきた。これは実にごもっとも話である。そして、「筋肉の硬いところを治せば関節や神経、血流も良くなると思っていましたが、実際やってみるとそうはなりません。筋肉だけの治療では限界があるのです。そこで目をつけたのは神経の興奮です。長年治療していると神経の興奮を落とす技術が身につき、筋肉の炎症はそのままでも神経の興奮さえ鎮めれば痛みは楽になり、早く治ることが分かっています。それがわかってから我々は神経にばかり目がいきます。医者で言えば神経ブロックや鎮痛剤を使う話です。だからあなたの言うとおり炎症が鎮まったわけではありません。我々は長年の経験で、その神経鎮静方法のレパートリーが増えただけです。今回は筋肉の治療も当然していますが、筋肉のほぐれ方には限界があるので、その後は神経ばかりをターゲットにしました。」と答えた。「へー、そういうものですか。炎症が鎮まっていないのに痛くないわけですね。」「そういうことです。」とは答えたが、何か釈然としないものは感じたのであろう。当然治療方法もどこから攻めるかで方法論は違う。しかし限られた時間の中で、結果を出すなら神経鎮静の技術は外せない。患者さんも常連になってると質問が鋭くなる。
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