長引く痛みにはモヤモヤ血管がある

印刷する

常連さんから気になる本があるので、読んで感想を聞かせて欲しいという。

「長引く痛みの原因は、血管が9割」

奥野祐次先生
ワニブックス

タイトルからして唸る内容なので一気に読んでしまった。
奥野先生はカテーテルでがんを治療をする専門医だった。
がん細胞は正常細胞より多くの栄養を必要としているので、血管を作ってしまう。
その血管に小さいサイズの粒子を入れ塞ぐことで、がん細胞を兵糧攻めにする治療が専門であった。
乳がんの患者さんを治療したら、長年の肩の痛みが楽になったという。
初めはがんからの悪影響がなくなったためと考えていたが、段々調べるうちに痛みの出ている関節のそばにモヤモヤ血管を見つける。
それが長引く痛みの原因であることを突き止め、慶應大学で研究を続けられた。
この著書の中にいくつも合点がいく指摘がある。
まず患部は暖めるのか冷やすのかがよく言われるが、臨床の経験上、どちらとも言えないケーかをあることを理解している。
痛いのは血行不良だから暖めればいいと言われるが、それだけで答えが出ない。
また患部を持続圧迫して、血流を止めて痛みが楽になることも知っている。
相矛盾することだが、このモヤモヤ血管ですべて説明がつく。
患部の血流が良いのはモヤモヤ血管の方だったり、そこを塞栓して痛みが治ることもすべて合点がいく。
本を読み終えて、患者を送りたくなった。
まだまだ知名度はないが、こういう若い先生ががんという別の分野から、長引く痛みの問題にメスを入れてくれたことを嬉しく思ってしまう。
今まで当たり前と思っていたことがひっくり返り、新しいアプローチがやがては標準治療になっていく。
いつの時代もそうだが、新しい幕開けを感じる著書だった。

2015年8月1日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中