生き方の選択

長年この仕事をしていると、人生の先輩からいいお話を伺うことが多い。お金に関して覚えている話は、「誰かが近寄ってきて、『ちょっと話が・・・。』と言って来たら、殆どはお金の話。話を全部聞いたら断りにくいので、『ちょっと・・・。』と言われた段階で、『金ならないからね。』と最初に言ってしまえば相手は言いにくくなる。これはコツ。」と教えて戴いた。またある銀行の頭取を治療している先生から聞いた話だが、「どうしても銀行をやっていると人が自宅に訪ねてきてしまう。そんな時は封筒に5万円入れて、『これは差し上げるお金です。あとは何も出来ません。』ということにしている。だからいつも封筒は用意してある。」と言う。お金にかかわる話は多いが、人を助ける場合に魚をあげるのではなく、魚の釣り方を教えてあげないといけないと教わった。やはり話を聞くと生き方の選択の場面で知恵がある。これはある有名な外科医だが、手術を頼まれ、診断の段階で自分には出来ないものは断るという。名医なら何でも引き受けそうだが現実は違う。時々患者さんでも色々なものを引き受けすぎて、本業が疎かになる方がいる。何にでも程度はある。お人好しは結構だが、以前ある方から、「救い方にも方法は色々ある。すべて自分が手を出せば良いという事ではない。」と教えて戴いた。人生常に選択の連続だが、話を聞けば聞くほど生き方の違いを感じる。効率よく上手に立ち回るやり方だけがいいとは思わないが、人それぞれ、生き方の選択に幅があり、いつも興味を持っている。

image_print印刷する