経過表について

がんでもアトピーの患者さんでも長い歴史を持っている方は多い。場合によっては40年ぐらい患っていて、その間どんなことがあったのか話を伺い、カルテに書くだけでも大変である。しかし話を聞きながらよく感じるのは、時間の経過と病状推移がめちゃくちゃということだ。「あの痛みが出たのは確か、2年前、いや5年前だったかもしれない。」「あの健康食品をやっておかしくなった?いや病院を変えた後だったかもしれない。」こちらは血液のデータを見ながらお話を聞くが、数字が良くなったり悪くなったりするのには必ず原因がある。本人の思い込みと錯覚が一番怖い。そういう場合は添付のような「経過表」を書いてもらう。そうすると見えないものが見えたり、新たに気がつくことがある。まして病気が2つも3つもあり、複雑に絡む場合はこの表がないと中々こちらも整理できない。そして治療を進めていく中で改善しないものの本質をみようとしている。何時どこで何がどうなったのか、病状推移と共に記憶をたどりながら思い出すだけでも、治療が半分終わったようなものである。

 

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