交通事故の対処法

病院勤務時代から交通事故の患者さんは多かった。骨折に打撲、手術後のリハビリ、機能訓練とやることは多い。今日来た常連さんが、バイクでこけたという。骨折などはなかったが、あちこち痛いという。今までは首の痛みを治療していたが、こういう事故の後は今までと同じ治療はなかなかできない。まず事故の後、神経が興奮して今までの痛みは感じないが、悪くないところまで痛いと言い出す。そしてすぐに痛む場所が変わる。右かと思えば今度は左、肩かと思えば今度は背中。場合によっては発熱するし、我々がマッサージなどすると悪化してしまう可能性が高い。事故後はある程度1週間もすれば症状は出尽くすので、それからなら今までと同じ治療ができる。年配者でも2週間程、様子を見ればいい。頭部打撲の硬膜下血腫などで2ヶ月ぐらいの方が稀にはいるので注意は必要である。ではそんな時(事故後数日)、何も出来ないかというとそうでもない。こけて上半身を打ったのなら、大体下半身は治療できる。今までみたいに首に集中治療するのではなく、上半身は「散らす鍼」といって、反応の出やすいところに浅く打つ方法がある。これなら回復の助けになる。長年の知恵でどんな場合も鍼灸は適応がある。

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