若い整体師

いつもはテニスの肘痛で来る方が、今日は首が痛いという。話を聞いたら、「知り合いの若い整体師にやって貰ってから首が回らなくなった。」と言う。調べてみたら、首ではなく胸椎と言って首の少し下の骨の矯正をしたために、寝違いを起こしたことがわかった。私も長い経験の中で患者さんを壊したことは何度もある。病院で首の治療中に患者さんが倒れてしまったり・・・、語れば何時間でも失敗談はある。この年になって思うのは、「患者さんには是非、その若い先生にかかりつづけてもらいたい。」ということだ。何となくお互い気まずいのは良くわかるが、治療家は自分でやったミスを診られないと又同じ事をする。当然その方を診るときには普通以上に神経を使うがそれが勉強になる。どうして自分が治せず壊してしまったのかがわかる。病院で私も患者さんを倒してしまったときは、首の神経の治療をしようと思って頸動脈を少し強く圧迫しすぎた。軽くやれば神経の治療が弱くなり、強くやり過ぎれば頭の血流が悪くなって倒れる。今はそのさじ加減はコントロール出来るが、当時は出来なかった。患者さんには負担になるかもしれないが、治療家を育てるという大きな気持ちを持っていただきたいと思う。それをお互い乗り越えると、一生涯のかけがいのない先生になる。私も今から思うと多少壊してもよく患者さんが耐えてかかってくれた。「今は良くなったけど、あの時お前下手だったものなあ。なんか一生懸命やっていたから言えなかったけど・・・」と数十年経って言われたことが何度かあった。本当に患者さんには感謝だが、そういう方が今でも何組もかかっている。1番長い方で40年かかっている。首をおかしくされて怒る気持ちは分かるが、そこを少し我慢して乗り越えると、予想もしない世界が待っていることがこの年になるとわかる。

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