どうして腰が痛いのにお腹を揉むのでしょうか?

以前から、「腰が痛い時にお腹の治療をする」話は何度も書いている。患者さんがよく、「腰が悪いから腹筋を鍛えるのですよね」と言いますが、私はこの考え方には反対です。まず腰が痛い時に腹筋など働いていませんから、鍛えようがありません。例え鍛えることが出来たとしても腰は悪化する方が多いと思います。
ではお腹と腹筋と腰はどういう関係でしょうか?
1番わかりやすいのが、立ったときに腹筋と背筋(背中や腰の筋肉)で前後バランスよく働ければ何の問題もありません。しかし人は食べすぎたりするとすぐに走れないように、胃腸に負担がかかると腹筋が働きません。立ったときに腹筋が働きませんから、背筋が頑張るわけです。それが続けば背中や腰が、「いつも頑張っているけど限界」と言って痛みを出してきます。
ですからお腹が原因の腰痛はお腹を治療するわけです。場合によっては胃腸科で胃薬や便秘薬をもらうこともあるでしょう。我々ですと、お腹を揉んだり、鍼灸をするわけです。目的はただ一つ、内臓の調子を整え、腹筋に本来の仕事をしてもらうためです。
ここがわかると、何故腰が痛い時にお腹を揉む理由が分かると思います。
残念ながら現在では病院で腰痛と言っても、お腹の話は一切出てきません。レントゲンやCT、MRIを撮って、「腰の骨は○○、変形が△△」と言われるだけです。場合によっては、「レントゲンでは異常がない」と言われ、投薬と湿布で終わってしまう事も経験されているのではないでしょうか。レントゲンで映るものに異常はないかもしれませんが、映らない膜や筋肉、脂肪組織などに異常があれば、簡単に腰痛は起こります。
当院ではよく、「レントゲンを撮ってから来て」と言っていますが、医者の診断で画像に問題がなければ、内臓などが原因の可能性が実に高いわけです。
ですから当院ではまず腰痛の場合、脚を診て、問題がなければすぐにお腹を疑います。
ここがわかると一気に治癒率は上がります。しかし世間で、「腰が痛くてあそこに行ったら楽にはなったけど、腰も診ないでお腹だけ揉まれた」と人が言ったら、どう思われるでしょうか。当院の常連さんは皆知っていますが、まだまだ腰が痛い時にお腹を揉むのは一般常識にはなっていません。やがては「腰が痛い時にお腹を診ないとは何事か」という時代は必ず来ますが、まだまだ時間はかかりそうです。慢性腰痛に悩んでいる方、お腹の治療を忘れたら腰は治りません。

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