全治3ヶ月って完全に治るのに2年かかる? テレビのニュースなどで良く耳にする「全治3ヶ月」という言葉、あれって本当に3ヶ月後に今までと全く同じように回復するということなのでしょうか? 残念ながら答えはノーです。ここにはちょっとしたマジックがあります。それは「医者言葉」という存在です。 私自身、病院で仕事をする中、この「医者言葉」に対しての認識の違いにより、多くの誤解が生じていることを肌で感じ、このことを広く伝えなければと感じてきた一人です。初めて事故や怪我で、病院に担ぎ込まれ、担当医から「全治3ヶ月」と言われれば誰でも「3ヶ月後に今までと同じように仕事が出来る。」と考えるのではないでしょうか?完治と全治、「それって同じ意味じゃないの?」とお思いになる方がほとんどです。しかし現実はそのように復帰することはできません。では医者の言った「全治3ヶ月」とは何処が3ヶ月なのでしょうか?これは一つの基準で下記のようなものです。 「全治3ヶ月」は「全治6ヶ月」より軽い。「全治3ヶ月」は「全治1ヶ月」より重い。 ようするにおおよそ問題のないレベルの基準なのです。骨折であれば骨はくっついてはいるが、滑らかに今までと同じように動かせるということは考慮していないのです。ギブスをとっても再骨折の危険性がほとんどないという基準であって、今までと同じように快適にということに関しては考えていません。 つまり医者は治すことに関心があり、患者は今までと遜色のない同じ状態に関心があるのです。皆さんが描いているのは、怪我が治るのはもちろんのこと、やせた筋肉が元に戻り、運動しても障害がなく、何の不自由も感じない状態、それは「全治」ではなく「完治」なのです。 ですから私は良く以下のようなことを説明します。 完治=全治×5~6倍 そうです、医者から「全治3ヶ月」といわれたら今までのように快適に活動できるまでに一年半以上かかるのです。ですから、怪我や病気で病院の先生から「全治3ヶ月」と言われたら、「今までと同じように完全に回復するのに、どれくらいの治療と時間が必要ですか?」とあらためて聞かなくてはなりません。特に責任のある立場の方は注意が必要です。不用意に「全治3ヶ月」と言われて、「3ヶ月後には完全仕事復帰だ!」と思いこんだら大変です。 「医者言葉」は医療従事者にとっては一言で色々な意味を含むという便利さがある反面、一般人には誤解を生むこともありますのでくれぐれもご注意ください。
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