常連さんが突発性難聴と耳鳴りで専門病院で治療したが良くならず困っていた。違う病院を紹介したら、たまたまうまくいきほぼ完治したと言う。そうしたら嬉しくて舞い上がって酒を飲み、転んでしまいまた耳の調子が悪いという。昔病院に勤務していたときもカメラマンが足を骨折して、プレートとをボルト止めであまりに調子が良いのでリハビリもせずに退院してしまった。その後2ヶ月してあまりに脚に負担をかけたものだから、ボルトが2本も折れてしまい外科の先生は、「折れたか、これは相当骨を削らないと取れないなぁ。」と頭を抱えていた。先日も脊柱管狭窄症の患者が術後あまりに調子が良いので、野良仕事をしてその後激痛に襲われた。リハビリの世界ではよく経験することだが、我々は、「この間まで調子が悪かったのに治療が効いたからといって、そんなにすぐに良くなるわけがない。無理をすれば何か出るから、気をつけた方がいい。」という感覚を持っている。患者さんの舞い上がる気持ちは分かるが、ここは「勝って兜の緒を締める」や「ふんどしを締め直す」気持ちが大事である。これがある程度のお年寄りになると、「今までずっと悪かったんだからいいのはたまたま、またすぐ悪くなるに違いない。」と思っているから無理をしない。そして完治まで様子を見る。なんとも人生経験がものをいう。若い時に何度か失敗してその境地に立つしかない。
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