こういう仕事をしているとプロの方で、「明日本番なんだけど何とかして。」と言ってくる方が時々いる。芸能や歌、スポーツと幅は広い。今日来た方は歌手で声が出にくいという。多少の声帯炎はあるものの、今からでは病院は間に合わない。我々に出来ることは何かを考えながら、全身を拝見した。まず気になったのが「首のこり」「首のゆがみ」「左胸の筋肉」と「左腕のこり」。これは数年以上前から身体に左右差があることを意味する。話を聞いたら、「声帯も左ばかり悪くなる。気がつけば左胸を時々叩いていた。そういうば腰も左。」と言う。「首のこり」はそういう左右差の表れなので、左右差をなくせば良くなる。「首のゆがみ」は顎関節症なので聞いたら、マウスピースは着けているが、メンテはしていないという。そして腰を診たら「胃炎」がある。これも慢性。左ばかり悪くなり、「左声帯」と「身体のゆがみ」はどっちが原因だかわからないが、お互い足の引っ張り合いをしていることは間違いない。まず腕と胸筋から治療すると「首のこり」がなくなった。しかしこれだけでは十分ではない。胸にはキネシオを貼り、腕には皮内鍼を張った。おそらくこの胸のテーピングが功を奏すと思う。明日の本番はなんとかなるとしても今後は声帯をちゃんと診てくれる先生と我々の連携が必要になってくると思う。治療の最後に「声を出してみて下さい。」と言って歌ってもらったら凄い迫力。こういう声を聞く度に、川井弘子先生の「うまく歌える「からだ」のつかいかた」を思い出す。本当に身体が楽器である。
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