患者さんとよくしゃべっていて、良く感じるのは、「健康法を学ぶ機会がない」ということである。小学校で理科か保健体育の授業で、心臓、血管、肝臓、肺などは最低限学ぶが、そこから病気の話には中々ならない。持病でもあれば病院に通いながら色々と病気のことなど覚えるが、お産以外医者にかかったことがない方だと、何処で健康法について学べば良いのだろうか?親が健康オタクなら色々と言われるだろうが、殆どの方は社会に出るまでまったくと言っていいぐらい、健康法を学ぶ機会がない。健康法と言っても大分範囲が広く、食事療法、身体の考え方、病気の捉え方、最後は生き方まで学ばないと中々理解出来ない。我々が学校で学んだ時代は死因のトップは「脳卒中」でどうやって血圧を下げるかがテーマだった。当時「がん」は第3位で今ほどメジャーじゃないから、「がん」と言う言葉を聞くと、やはりビックリした。その後薬の開発と日本人の塩分食が見直され、高血圧の方が激減して、がんばかりになった。こうなると減塩だけ指導していた時代とは違い、あらゆる角度からがんに対して、予防的な対策が必要になってきた。食事の西洋化、コンビニ食、加工食品、食品添加物、人工甘味料などあげればキリがないが、自分が病気でもしない限り、益々学ぶ機会がない。本来なら家庭での食事の時間に伝えるのが好ましいのだが、今は「孤食」と言われ、ただ黙々と食べるだけという子供も多いと聞く。小中学校の給食の時間を利用して、発酵食品、繊維食、日本食の特徴、外国との比較、日本人の病気の変化など少しずつ伝えられないだろうかと何時も思っている。当院でも若い時に多少なりともその知識があれば、ここまで悪化しなかっただろうという方を時々診る。がんが増えて騒ぐのではなく、何とか手は打てないだろうかと感じている。
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