鬱病の方に、「ここは鍼灸院なのにどうしてすぐに鍼を打たないのですか?」と聞かれた。これには少し理由があって、長年の経験でどんな症状の方もいきなり鍼をやって効く方と効かない方がいる。昔は理由がわからなかったが、段々調べていくうちに患者さんの環境の違いでそういうことが起こるとわかった。例えば風邪で咳き込んでいる患者さんに鍼をやって効かなかったとする。その方がご自宅でどういう生活をしているかはわからない。試しにご自宅に行ってみると、家は隙間だらけでストーブもつけていない。風呂も入らず、食事も粗末、睡眠も十分に取れていない。こういう生活をしていたらいくら鍼をやっても効かない。まずは部屋の暖房や風呂、食事や睡眠を整えれば鍼は効く可能性が強い。そこに気がついた。以前、難病チェックでも書いたが、「鼻」「歯」「腸」を整えてから鍼を打つとよく効くことを経験的に知っているからである。こんな説明をしたら、「なるほど」と納得していた。
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