50・60代の女性で鼠径の痛みを訴えてくる方は時々いる。主な原因は鼠径ヘルニアで鼠径の靱帯が緩み、腸の一部が飛び出る病気である。それで確定診断が出れば、手術で患部を開けてメッシュを入れれば治る。しかしヘルニアが出ていなくて痛みを訴える方もいる。MRIを撮り原因がわかれば良いが、わからないケースも多い。そうなると「大腿(太腿の前面)神経痛」位としか病名のつけようがない。坐骨神経痛なら何となく腰から脚が痛いと皆さんが知っているが、大腿神経痛と言われてもピンとこない。治療法は鎮痛剤で良くなればいいが、痙攣発作みたいに出るケースは痙攣止めを使う。それでもだめなら神経ブロックで対応する。しかし患者としてはこれで治るのかが不安になる。これはあくまで鎮痛だけなので治る保証はない。MRIで何ともないと言われると、患者心理としては原因追及したくなるが医者としても答えようがない。こんな事をしながら段々患部の辛さが消えていくのが常である。
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