症例

身体のスイッチの調整法

常連さんが週に1度程度、夜勤があるという。その後はよくうちに来るのだが、どうも腸が動かないと言う。これは夜勤によって自律神経の調整がうまくいかないことを意味する。私も実は月に2回程、午前4時に起きて行くところがある。起きてすぐに風呂に入り、支度をして午前5時には出る。午前8時ぐらいには帰ってくるのだが、そこから仕事開始の朝10時までは少し間がある。以前はそのまま仕事に入っていたが、最近はどうも仕事…

痛みの原因は「関節内」「関節外」

前回、腰椎椎間板ヘルニアの手術した後で痛みが出た方の話を書いたが、患者さんから、「ヘルニア内?ヘルニア外?」と少しわかりにくかったみたいなので、膝を題材に少し話をしたい。膝痛の方はよく来るが、まず痛みの原因が「膝関節内」「膝関節外」かで分ける。「関節内」なら、半月板か軟骨、靱帯が問題で、「関節外」なら周辺の筋肉、神経、血管、扁平足なとが原因になる。よく患者さんが、「MRIを撮ったけど関節自体は何も…

ばらばらな症状の原因は一つ

今日来た常連さんは「顎関節の痛み」「左肩の痛み」「親指の違和感」「少しストマックライン」が気になると言う。 全身を調べてみたら胃炎があり、ばらばらに見える症状を全て胃炎で説明できるとわかった。まず顎関節だが、今調整中でよく噛めないと言う。よく噛めないので胃に負担がかかり、脚にスタマックラインの反応が出る。左肩の症状は胃炎の反応で説明がつくし、このように体に違和感があると末梢神経が興奮して指の違和感…

腰椎椎間板ヘルニアの手術をしたのにまだ痛い

常連さんが、「知り合いの女性が腰椎椎間板ヘルニアの手術のあと、少しはいいみたいだけどまだ痛がっている。どうしてなんですか?」と聞くので、「痛みの原因がヘルニアだけなら手術で治るはずですが、ヘルニア以外に痛みの原因があれば手術をしても痛みは残ります。」と説明したら、「そんな事あるのですか?」と言うので、「本来であれば担当医が、『痛みの原因がヘルニアだけなら私の手術で大丈夫です。しかしそれ以外にもあれ…

年を取ったら医者がいなければ生きてはいけない

私も還暦を越え、親を送ることを考える年齢になった。 親には財産など残さなくてもいいから、少し贅沢をしろといつも言っている。 「中トロでもステーキでも何でもいいから少し高い物を食べたら」 「こってりしたものは胃が持たれる。美味しい物を食べすぎると医者に色々と言われるし、さっぱりしたものが食べたい」 「買い物をしたら帰りはタクシーを使えば」 「健康にために少し歩きたい」 「旅行でも少し行ったら?」 「…

大腸大改造計画

今日来た新米ママはライオンタイプなのに足が冷えるという。お腹を診たらかなり長患いの便秘症である。おそらく高校生ぐらいからずーっと続いているのであろう。話を聞いたら、「薬を飲まないと3日も出ない。コーラックなどを飲めば出るが、お腹が痛い。弱い薬は錠数が増えてしまう。」と言う。今は若いからいいが、こういう便秘症の方がどうなるかというと、まず足の血行不良で冷えは当然、浮腫も出る。次に腹圧が高いので心臓に…

勝負心

運動部の学生が通っている。筋トレに励み一時期より大分たくましくなり、陰ながら成長を楽しみにしている。大きな大会や試合があると少し緊張するみたいで、そんな時の心構えを話した。昔から、「大男総身に知恵が回りかね、小男の総身の知恵も知れたもの、中途半端のろくでなし」とどんな人もけなす言葉があるが、昔幼なじみがとある試験会場で周りを見たとき、「こういう場所だと皆頭がよさそうに見えるが、自分より小さい奴には…

ゴルフで膝痛を楽にする方法

常連さんがゴルフにはまっていて膝を痛めている。若い頃から始めた方はそんなに集中してゴルフの練習はしないが、ある程度の年齢になってはまった方は週に2-3回、多いと4-5回レッスンを受ける。頭の中はスコアと飛距離で一杯で、新しいクラブなどを揃えたら間違いなくはまっている。そしてプロに打ち方を教わると、身につけたくて何度も何度も練習する。気がつくと膝を痛めている。初めのうちは足が腫れるのでサポートタイプ…

お年寄りの皮膚炎

お年寄りの常連さんが足が痒いので皮膚を診てくれという。診たらかなり赤くなっていて引っ掻いた跡がある。「もう血管が見えている。皮膚が剥けているので1ヶ月ぐらいは掻いたでしょう?」と言ったら、「2ヶ月は過ぎている」と言う。ある程度年をとると「老人性掻痒-ろうじんせいそうよう」と言って皮脂の分泌が悪くなり、水分が乾燥で保てなくなり、痒みを訴えてくる。まだ本人が分かっていれば良いのだが、無意識に寝ている間…

完治しない坐骨神経痛

細身で小鳥タイプの女性が坐骨神経痛でおおよそ治ったが、完治しない。以前ブログで残り5%の痛みを書いたが、100の痛みを80取り、20にしてからが大変で、残り5%だけ痛みが取れないと言われるとこちらは困ってしまう。では何故完治しないのかを考えてみた。完治しない方達の特徴は間違いなく小鳥タイプである。こういう場合は完治したら何が起こるかを考えると分かりやすい。ライオンタイプなら多少無理をしても問題ない…

若い整体師

いつもはテニスの肘痛で来る方が、今日は首が痛いという。話を聞いたら、「知り合いの若い整体師にやって貰ってから首が回らなくなった。」と言う。調べてみたら、首ではなく胸椎と言って首の少し下の骨の矯正をしたために、寝違いを起こしたことがわかった。私も長い経験の中で患者さんを壊したことは何度もある。病院で首の治療中に患者さんが倒れてしまったり・・・、語れば何時間でも失敗談はある。この年になって思うのは、「…

御身大切に

首でも膝でも長い期間痛みが続き、何かの治療が功を奏したときに試したい気持ちは分かるが、程々にしていただきたい。特に膝の場合、半月板を痛めると階段が降りられない。しかし楽になると何度も降りて確かめたくなる。結局それが原因で又痛みが出る。ゴルフで腰痛の方も痛くてクラブを振れなかったのに、少し楽になると何度も振る。楽になったからと言っても、今までマイナス30点がマイナス5点ぐらいになっただけで、身体に余…

どうして灸は効くのですか?

常連さんから、「お灸は凄いと聞きましたが、どうして効くのですか?」と質問された。以前、キズ治療というブログを書いたが、少し例え話をした。「ご夫婦で喧嘩をしていたとします。大喧嘩で口もきかない。そんな時、子供が交通事故で骨を折り、入院騒ぎになった。当然病院に駆けつけるでしょう。お父さんはお父さんなりにやることはあるし、お母さんは着替えや食事のこと、学校への連絡など色々としなければいけない事は多い。そ…

年寄りは段々子供に返る

親がそこそこの年になると子供を頼ることがよくある。一緒に買い物に行ったり、病院に付き添ったり、ご飯の支度をしてあげたりと手間がかかる。自分もそれだけの手間をかけて頂いて大きくなったのだけど、あまりに色々と言われると身内だけに頭にくることもある。特に母と娘の場合、娘は母親に対して容赦がない。「お母さん、何グスグスしているの?早くして」「だって腰が痛くてすぐには動けない。あなただって私の年になればこの…

逃げ切り組

子宮筋腫や股関節の手術は常に時間との闘いである。子宮筋腫もある程度閉経(50才程)すれば小さくなるケースが多いので、42-3才で筋腫がある程度の大きさの場合に医者は、「あと数年か、極端に大きくならなければ逃げ切れるかなぁ。」と考える。これが35才ぐらいで勢いよく成長している場合は、手術の話になってしまう。股関節の人工関節も同じようなことが言えて、昔は人工関節は10年ももたなかった。50才で初めて手…

身体の暖め方

今年は例年より冷えがきつく、私自身朝、布団から出るのに気合いがいる。患者さんの中にもホカロンを腰に貼ったままの方がよく来る。以前患者さんから、皮膚に直接貼れる「直貼」を教わったが、あまりに便利なので重宝している。今日来た常連さんは、胸元が寒いというので見たら胸にホカロンを貼っていた。本来胸は外気と空気のやりとりをしているので、そんなに温度の高いところではない。暖めること自体悪いことではないが、我々…

専門医の見つけ方

常連さんが身内に嚥下障害(えんげ-食べ物や唾液が食道ではなく空気の通り道である気道に入り込む)で困っている人がいるという。この嚥下だが、お年寄りに多く誤嚥性(ごえんせい)肺炎の原因になるので注意が必要である。聞き慣れない言葉かもしれないが、では何処で診て頂けるのであろう?「内科?」「耳鼻科?」「呼吸器?」と少し迷うのではないだろうか。こんな場合まず我々だと「嚥下外来」を探す。場合によっては「摂食嚥…

身体と生き方

40年以上仕事をしていると最近は少し説教っぽい事を言いたくなってきた。 下記に挙げるものは、身体と生き方のコツである。 基準にしているのは「体が喜ぶか喜ばないか」である。 ■悪い習慣  根を上げることは罪悪と思っている  限界までやらないと気が済まない性格  甘い物・辛いものが止められない  満腹まで食べないと気が済まない  飲んだ後は必ず締めのラーメンを食べる  物事に白黒つける癖  スケジュー…

病気は単発ではない

人が亡くなるのは昔は、「脳卒中」「心臓病」「がん」の順番だった。最近は「がん」が断トツである。結局、「免疫」か「血管」の問題であることが分かる。もちろん免疫もいい状態を保てれば、血管は年齢なりになるが、糖尿病や高脂血症があるようでは血管は持たず、短命になってしまう。最近は「慢性炎症」という言葉で、寿命に関する論文が多いが、多くの方が、「病気は単発」と思っている。例えば糖尿病、少し血糖値が下がればも…

症状に鈍感で病名に敏感

常連さんが少し眼の具合が悪いので、「じゃ、眼医者で調べて」と伝えて、そのままになっていた。今日久しぶりにその話になったとき、「緑内障と言われてショックでショックで・・・」と言う。こういう場合、以前ブログに書いたが、調べれば調べるだけ難病の情報が出てくる。緑内障だとおそらく、「失明」まで読んだであろう。しかし話を聞くと点眼液で眼圧は十分に下がり、月に1度程度の診察で経過観察をするという。これは我々か…