症例

仙腸関節について

常連さんが腰を痛がり、良くならないので診て欲しいという。調べたら右の仙腸関節炎(ぎっくり腰)で、まずは鍼を打って様子を診た。そうしたら打った後の方が痛がる。これはおかしいと思い、ぎっくり腰の定番治療、①脚の治療②お腹の治療③さらしなどでの固定を全て試したが全く効果がないという。これは明らかにおかしい。脚を治療しながらスタマックラインの反応があったので、「食べすぎ?ストレス?」と聞いたら、ある投薬の…

股関節人工関節について

昨年度から急に股関節の患者が増えた。私自身が股関節に特化した専門家ではないので、知り合いの先生を紹介し、そのうち4人が人工関節の手術を受けた。以前から、股関節の術後は殆ど患者が来ないので、リハビリに関してのブログが殆どない。酷い方になると股関節人工関節の術後、別件でおみえになった方に、「もうどれくらい経ちますか?」と聞くと、「何が?」「え、手術ですよ。」「あ、それね。半年かしら?」と答える。それぐ…

突然効き出した胃薬?

冷え性の女性がいつも胃の具合が悪く、「消化器の先生はいつも同じ胃薬しか出さないけど、全然効かない。でも先日、旅行に行く前に頂いたのは効いた。体質が変わったということ?」と聞くので、「何か他に薬は出なかったですか?」と聞いたら、「腸の薬も出た。」と言う。身体を調べたらいつもの胃の反応はそのままあり、腸の反応が殆どない。「これはもしかして、腸の薬がよく効いたので、いつもの胃炎がそんなに気にならなくなっ…

いい状態が続く訳がない

常連さんで経理をしている方が10年前は、忙しい2月・3月に頻繁に通っていた。肩こりが酷く、治療しても殆ど楽にならない。あまりに酷いので、「毎月通ってみたらどうですか?」とアドバイスをして、実行してみたら、思いのほか調子が良い。いつもの忙しい2月・3月でも肩の状態は以前の半分以下で、「毎月やるとこんなに違うとは知らなかった」と言っていた。ところが今年に入り、もう3ヶ月経つのに1度も来ない。久しぶりに…

やがて腰痛と共に暮らす方

常連さんの中に初めての子育てをして、「この方はやがて腰痛が慢性になるだろうなぁ」と感じる方がいる。 その方の身体の特徴はどちらかというと虚弱体質で、今まで運動を余りしたことがない。仕事はデスクワークで、あまり身体を使わない生活をしてきた。子供が生まれてからは仕事柄自宅にいるので、子育てに熱心で、赤ちゃんが重くなるにつれ、腰痛が慢性化してきた。腰痛も今までにないレベルなので、良く通ってこられているが…

出来た喜びではなく、回復した喜び

仕事をしながらいつも感じていることがある。それは、「人は何か出来ると喜ぶが、身体のことはあまり考えていない。本来の喜びは○○をやったけど、ちゃんと身体が回復した事が本当の喜びである」という事だ。 例えばゴルフが好きな方が軽井沢など行って、「7日間連続でコース回れた」とか、「若い連中と一緒に2ラウンド回れた」と喜んでいるが、それを私に言うということは身体の何処かが辛いのである。身体のことは殆ど考えず…

先生が悪い

常連さんが妊娠した。7ヶ月なのに、体重が8kg増えて腰が痛いという。妊婦は「腰痛」か「足の浮腫」しか言わないから、定番かと思って調べたら、胃炎を見つけた。「あれ、食べすぎ?胃炎を起こしている。好きなだけ甘い物食べてるでしょう。甘い物は胃を壊すよ。」と言ったら、「私じゃないのです。この子です。」と言う。検診の時に赤ちゃんの重さを聞いたら700gだと言う。700gの子がそんなに食べられるわけがないので…

効かないのは「足らないか」「間違っているか」

この業界、重鎮は多い。レジェンドと言われ一時代を築き、著書も売れて講演依頼も多い。しかし私もそうだが、段々難しい患者が来る。そうなると自分の技量不足で必死に勉強するが、それでも追いつかない。そういう場合自分の今まで積み上げたものを1度壊さないと新しいものが入ってこない。一昨年、脊柱管狭窄症を患い多くの先生にお世話になった。その中にPT(理学療法士)の先生がいて、あまりに講義内容が素晴らしいのですっ…

若い優秀な先生がどんどん出てくる

この世界に長いこといると、「若い優秀な先生がどんどん出てくる」といつも感じています。 この医学の世界、新しい治療法の怖いところは過去と全く逆な治療法が開発されることです。 リウマチも以前は暖めたが、その次に出てきたのは冷凍療法で冷やして痛みを楽にする方法で真逆です。 昔は痛み止めやステロイドしかなく、痛み止めも飲み過ぎると胃を取ることもありましたが、そんな時医者は、「リウマチの痛みを止めるのはとて…

走ったら踵が痛くなって・・・

常連さんが久しぶりに少し走ったら、気持ちがよかったので長い時間走ったという。走りながら、「少しインソールが硬く、踵が痛いなぁ」と思ったが、走る気持ちよさの方が勝ってそのまま続けたという。そうしたら夜になり踵が痛み、翌日には腰、首までおかしくなって医者に行ったという。幸い、レントゲンでは異常がなく、事なきを得たが、その後家事をこなしながらどんどん痛みが酷くなって来院された。この話の中にいくつかの落と…

病気の隠し方

以前から、「だらだら治療するのが一番」と言っている。これは何か難しい病気を抱えた場合によく当てはまる。難病○○を抱えていると、何をやっても治らない。この世に治療法があればいいが、治療法のない難病はいくらでもある。これから先はわからないが、現段階で治療法がないのだから、悩むだけ無駄である。そんな時にだらだら通うとその難病以外が良くなってくる。そうなれば相対的にその病気で悩むことが減る。昔は朝から晩ま…

身体を整えると何が起こるのですか?

以前から貯金治療のことは書いている。痛くなってから来るのではなく、普段から身体にゆとりを持つと多少の無理をしても身体が痛くならず、人はそこに喜びを感じる。では身体にゆとりが出来ると何が起こるのか?それは「頭と口と腹」が整うのである。腹で感じたことを頭で考え、それがそのまま口に出るのである。我々は人の話を聞いて何となく嘘っぽいとか、この人は正直だというのは感じるものである。だから言葉に嘘がなくなる。…

鼻炎総まとめ

鼻炎に関してはEAT(Bスポット療法)の話になってしまう。 まず10年以上前に難しい患者が溜まってしまった時期があった。 Bi-Digital O-Ring Testをやっていると、「本で見ました」とか「オーリングのホームページで見ました」とか紹介で来るが、どの方も一筋縄では治らない。 鬱病が長引いたり、蕁麻疹が治らなかったり、病名はつかないが筋肉が溶ける病気、全く変化しない耳鳴り・・・など15人…

胃が痛くなって本当に良かった

若い患者さんが仕事のストレスで胃が差し込んで痛いという。お腹を診ると丁度胃の場所だが膵臓も重なっているので、酷くなれば病院で膵臓も診ていただかなくてはならないが、スタマックラインの反応が強いので、まずは胃炎で間違いないだろうと思い治療してみた。按腹とお腹に鍼をやっただけで、スタマックラインの反応が消えたので急性胃炎であろうと予想がついた。念のため消化器には行って頂くが、若い方の場合、こういう経験は…

マラソン完走のヒント

私自身、マラソンで完走をしたことはないので偉そうなことは言えないが、ただ患者さんの身体を診ていて感じることはある。それは、「馬鹿正直に走っては駄目」という事である。うちの来る方は必ず不具合か痛みを感じている。原因が筋肉だけなら我々でかなり治せるが、神経・血流障害や関節の問題となると、専門医の治療が必要になってくる。本番までに体調を万全に出来れば良いが、そういう方はなかなかいない。何処かに不具合を感…

先生は患者がどれだけ痛がっているかわかっているのですか?

常連さんが、「先生は患者がどれだけ痛がっているかわかっているのですか?」と聞いてきた。もちろん人の身体なので全てわかるわけではない。しかし今まで延べ人数で何万人治療したかわからないが、「おそらくこの筋肉の状態なら、このくらいの刺激は耐えられるであろう」は想像がつく。当院は「早く鮮やかに治す」事をモットーにしているので、基本はその場で治す事を考えているが、普通は5回かかる治療なら3回でと考えている。…

口腔内総まとめ

私は歯医者ではないので歯科領域の専門の話は出来ませんが、普段の臨床で気になっている口腔内の話をします。 顎関節と首のゆがみ-これは何度も書いていますが、首が辛い患者さんの治療をした後、歯医者に行かれると簡単に首の筋肉の状態が変わってしまいます。これは首の筋肉の支配権を歯が持っていることを意味します。もっと正確に言うと、「噛み合わせが首の筋肉に影響を与える」という事です。最近は首のどこが硬いと噛み合…

やがて痛いと言ってうちに来ると恥をかく時代

今は当院のような仕事の場合は患者が必ず「痛い」と言って来る。治療をして痛くなくなれば来なくなる。実は私はこれにもの凄い違和感を感じている。痛いか痛くないかはマイナスかゼロかで、お金で言えば借金か貯金がないかである。以前、身体の貯金でも書いたが、本当に身体の調子が良いというのは、「何をやっても壊れず、すぐに自然回復出来ること」である。ここに人は喜びを感じる。いつも腰が痛い人は、いつも通りの痛みかかな…

未来医療と生き残り

常連さんが、「未来の医療はどんな形になるのでしょうか?」と聞いてきたので、「1つ考えられるのは病院へはおそらく難病と急患しか行かなくなります。自宅が病院になるということが考えられます。例えばApple Watchのようなものが脈、血圧、血糖値、酸素飽和度等を常に監視しそのデータを病院に転送します。寝室のベッドでは心電図や発汗状態、体温測定が常に行われ、朝起きればトイレで尿検、便の潜血反応や腸内細菌…

小利口と誤診

この仕事を長年丁稚奉公から続けていると、色々と人生の先輩から学ぶことは多い。「先生の鍼は最高や。こんな治療受けたことない。素晴らしい!!」と言われてこちらがいい気になっていると、「でもまだ痛い。治ってないかもしれない。」と言われる。結局、治っていない事をストレートには言わず、先生を褒めて持ち上げといて、又治療してもらう。実に乗せ方が上手い。患者によっては痛いのに痛くないと言ったり、その逆もよくある…