症例

治療の効果判定

常連さんが五十肩の治療で、「前回やってもらった鍼の後とても痛くなった。そのあとは楽になったけどあんなの初めて。」と言う。これはよくある事なので、治療効果の判定に関して話をした。1が一番良くて段々悪くなる。 治療したら楽になった。 治療した後に一時痛くなったが、その後楽になった。 治療したら痛みが出てきた。 治療後、何にも変わらない。 4が一番ダメである。皆さんは3が一番ダメだと言うだろうが、我々は…

10年ぶりに出た尾骨痛

10年前に尻もちをつき尾骨痛で来た方が、又再発したという。尾骨痛は転ばない限り再発することはないので、足の環境が悪いか、胃腸の問題だろうと身体を診たら下記の5つの問題があった。 ここ数日久しぶりにヒールを履いた。 足の脛が冷え等で最近ずーっと硬い。 脚の左右差があり、股関節に負担がかかっている。 胃炎があり、腹筋力が落ちている。 少し便秘。 これだけ環境が悪ければ古傷は出る。色々な方を診ていても大…

ようやく気がついた甘い物、辛いものの腰への影響

坐骨神経痛で長く通っている常連さんに以前から、「過食はダメ、甘い物は控えて、辛いものも控えて。」と言い続けてきた。中々守ってもらえなかったが、最近兎に角治したいということで、少し食生活を控え目にしていた。途端に、「甘い物と辛いものを控えると本当に腰が楽、実感した。」と今日言われた。こちらからすると、今更という感じはあるが、患者さんが実体験したことが一番有り難い。「甘い物の代わりに何を食べればいいの…

前後左右上下裏表手足

変なタイトルだが、治療に行き詰まったときに自分に言い聞かせている言葉である。 例えば左脚の太腿の痛みが取れなければ太腿の後ろをいじってみる。 それでもだめなら右足の太腿、駄目なら裏、それでもだめなら脛、そして反対側もいじる。 それでもだめなら人を四つ足動物と考え、足を後ろ足として前足の同じ所。 筋肉は構造的に前後は拮抗筋(きっこうきん)といって、お互い補完し合っている。 曲げる筋肉があるということ…

右首の痛みと歯列矯正

常連さんの右首の痛みが何回治療しても取れない。腕の影響、肋骨の影響、頭皮の状態内臓の反応、骨盤の調整、脚からの影響など色々やってみるが、又必ず痛みが戻る。ドンピシャの原因を探り出せていない証拠である。話を詳しく聞いていたら、「歯列矯正をしていて先日ワイヤーを締めたんだけど、左ばかりで噛んでいるから少し右でも噛めと言われた。」と言う。もしかして右首の痛みは左ばかりで噛みすぎた事が原因と思って、左のこ…

膝がザワザワする方達へ

時々、膝が痛いのではなくザワザワすると言う方が来る。どんなことを考えながら治療すれば良いかというとポイントは3つある。 1.自律神経の交感神経優位の場合があるので、マウスピースなどで過緊張を落とす。 2.粘膜(鼻、喉、皮膚、痔)が弱いと起こることがあるので、まずはEAT(Bスポット療法)をやって痔などはちゃんと治す。 3.症状を出している犯人はウィルスなので、抗ウィルス作用のある物を使う。EPA、…

身体に痛みがある時の身体の器は1/3

普段10の身体の器を持っている方でも、何処かに痛みがある時は7割減の3割程度しか身体の器はありません。普段フルマラソンをして足が辛くなる方だと、10数kmでフルマラソンをしたのと同じぐらい辛くなるということです。本人は多少の痛みがあっても3割減で7割残りと思っています。「ちょっと痛いだけで少し具合が悪い程度だから、普段の半分ぐらいやってもまだゆとりがあるはず。」とよく言います。この自分の思い込みと…

外周を疑う

例えば肩が痛くてそこを治療してもうまく行かない場合、周りが何か影響しているかをみます。具体的には腕や背中、首と取り巻きを診るわけです。しかしそれでも良くならないとなると外周を診ます。頭や腰、股関節、足首を疑うわけです。例え話をすれば子供が不良になった場合、本人に原因がなく周りからの影響とわかった場合、まず友達や親兄弟を疑いますが、そこに原因がなければ祖父祖母、親戚、家の周りの方などとなるわけです。…

肩を楽にする方法

薬剤の専門家が、「肩をまとめて楽にする方法はない?鍼灸はピンポイントだし、マッサージ以外の方法で。」と聞いてきた。「基本的に我々の治療は刺激療法です。だから『どんな刺激』を『どれだけ』がポイントです。まとめて楽にするのにミオナール(筋弛緩剤)を毎回使うのも嫌だし、ピンポイントでなければカッサ療法と言って皮膚を擦る治療はあります。少しミミズ腫れを起こしてそこを修復する際に、肩こりも良くなってしまうと…

過酷な生活と帯状疱疹

病院勤務時代に救急だったので、骨折の患者はよく来ていた。場合によっては数ヶ月もベッドに寝ているとよく帯状疱疹を起こしていた。医者に、「帯状疱疹は免疫が下がると起こる。」と言われ、患者本人にしてみると、「骨折してから安静ばかりで無理はしていない。それでも免疫が落ちるとは不思議。」とよく言っていた。今日来た常連さんも眉の痛みを訴え、段々痛くなったので診てもらったら帯状疱疹だった。この方は10数年前に腰…

昔からの薬-ういろう

昔からある薬は他の薬とキャンセルしにくいという記事は以前に書いた。患者さんに話をしながら一つ忘れていたものがあった。それは「ういろう-正式名は透頂香(とうちんこう)」である。これは仁丹みたいなもので名古屋の名産とは違う。元々ういろうは中国の王が被る冠の匂い消しに使われていたと言われ、日本に伝来した後は外郎家が代々その製造に従事する事になったという。銀粒で麝香(ジャコウ)や薬用人参、龍脳(りゅうのう…

高齢の先生の特徴

どの業界にも名人とか、名誉○○はいる。やはり名人級になると経験も豊富だし、知名度も高い。しかしその名人のそばにいる方に話を聞いてみると意外にも皆同じようなことを言う。「最近、先生はお年で患者の話をろくに聞かないで、持論ばかり展開して皆に同じ話ばかりしている。あれでは先生は疲れない。」こんな話がよく聞こえてくる。取り巻きの先生方の苦労は絶えないだろうが、この仕事、定年があるわけではないので患者が来れ…

病気の説明をする医者と先生の顔色ばかり見る患者

これは以前、ある医者と雑談をしているときに聞いた話だが、「うちの名誉教授のところに難病の患者が来て、教授は一生懸命その難病の解説をしていた。そばで見ていてあれだけ丁寧に説明して下されば、さぞかし患者は良くわかっただろうと思って診察の後に聞いたら、『難しすぎて良くわからなかった。』と言ったという。でも患者はうなづいていたのでまた聞いたら、『教授の説明を私達は聞いていたのではなく、教授の顔色を見てこの…

しつこい患者の勧め

遠方から膝の半月板がなくなってしまった方が通っている。 医者からは手術しかないと言われ、色々試して駄目なら手術を受けるつもりでいたと言う。 たまたま検索して当院のブログを見ておみえになり、治療を始めたら思いのほか成績が良い。 仕事をしても殆ど膝が痛まないレベルまでなった。 この方は実に真面目な方でこちらが言ったことをすべて実行している。 歯の噛み合わせも膝に影響すると言えば歯医者に通い、鼻炎も治し…

食欲を抑えるコツ-2

過食が止まらず困っている方が時々来る。そういう方達の特徴は仕事が終わってまずビール、辛いものや脂っこい物が大好き、気がつくとお腹がはち切れんばかりになっている。お酒や辛いものはすべて食欲増進剤。だから食欲増進剤を飲みながら食べ過ぎと言っていることになる。そういう方にはまず食前にコップ2杯の水を飲むことを勧めている。飲むと少し胃が重くなり、食欲が落ちる。次にサルやオラウータンの話をする。人間が進化し…

ステロイドと漂白剤の話

ご紹介出来た方の肘痛が酷い。テニスにはまっていて少し痛みに強いので、どこもかしこも筋肉が硬い。こうなるともう選択肢はステロイドしかない。しかしステロイドに関してとても拒否する方と、そうでもない方がいる。拒否する方は、「あれは痛みを止めているだけで治していない。癖になったら大変。」と言う。そうでもない方は、「何でも楽になれば良い。」と言う。これは以前、うちの常連さんがある整形外科から、「ステロイドは…

口の中に鍼を打った話

最近通っている患者は坐骨神経痛や自律神経失調症、顎関節症と少し手強い。顎関節症は専門の歯医者を紹介しようと思って伝えたら、間違って違う歯医者に行って口の中に鍼を打たれたという。ビックリして大丈夫でしたかと聞いたら、「2回口の中に打ってもらってとても調子が良い。」という。私など40年もこの仕事をしていて今まで3回ぐらいしか口の中に鍼を打ったことがない。それも患者から頼まれて、顔面神経麻痺と三叉神経痛…

患者をその気にさせる

病院勤務時代におばあちゃんがおできで悩み、外科の先生に相談したら、「それは手術、手術しかない。」の一点張りで、患者が是非お願いしたいと言わなかったのでそのままになっていた。ある時若い医者が外部から来たときに、そのおばあちゃんが愚痴を言った。「先生、このおでき、外科の先生は私の顔を見ると手術手術と切る話ばかりする。あまり言われると気がのらなくて・・・。」「そうですか、少し拝見します。これは結構皮膚の…

内科と膝痛

常連さんが、「この間夜中に膝か動かなくなったがすぐに治った。取り敢えず湿布を貼ったが今日は大丈夫。」と言う。この方は以前から少し高血圧で降圧剤を2剤飲んでいる。血圧を測ったら上が110mmHgでよく効いているか、少し下げすぎか微妙な数字だった。本人は膝の症状は整形的なこととを思っているが、我々からすると動かなかったり、きかないというのは脳の虚血を考える。一過性虚血発作といって、手足が少し麻痺したり…

遊走腎について

常連さんがいつもと違う場所の腰が痛いという。調べてみるとそこは肋骨のすぐ下で腎臓の位置である。まさかと思って、「医者に遊走腎(ゆうそうじん)って言われたことはないですか?」と聞いたら、「え、大分昔に言われた。」という。聞き慣れない言葉かもしれないが、遊走腎は腎臓が立ったときに下に下がってしまう状態を言う。生理的にも4-5cmは下がるが10cm以上レントゲンで下がったと確認出来れば確定診断となる。細…