田舎の母が、「そろそろ年だし、断捨離でもしなくちゃ。」と言って、応接セットを一つ身内にあげてしまった。これで部屋がスッキリしたと思って行ってみたら、新しい家具を買っていた。どうして買ったのか聞いてみたら、「殺風景で寂しいから。」というのが答えだった。指輪ももうしていくところがないから売ったと言うが、話を聞いたら売ったお金で又新しいのを買ってしまったという。箪笥も一竿処分したが、今度は小さい箪笥を又買った。結局気持ちは断捨離だが、実際にそこで生活しているわけだから、中々年寄りの断捨離は進まないと思った。40代50代とか若ければ一気に断捨離の魅力を感じるかも知れないが、年寄りは思い出の中で生きているから難しい。仕事柄よく娘が断捨離をして母親に、「お母さん、洋服もこんなにいらないのだから、ここからここまですべて捨てたら。」と言うが、母親にしてみると、「自分でゆっくりやるからあなたは口を出さないで。」と喧嘩になってしまうという話を聞く。お互いの気持ちはわからないわけではないが、お年寄りの断捨離は思った以上に出来ないものであるという感想を持っている。
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