シナリオ論

今日来た妊婦さんに、「人の運命にはシナリオがある。これは以前学んだことだが、東大で26組の一卵性双生児の経過を研究した。一卵性なので一つの卵を2分割、全く遺伝子が同じである。片方が東京に住んでいてもう片方が大阪にいるとする。年齢が同じだから恋愛時期や結婚、出産時期がかぶる話はわかるが、片方が交通事故をするとほぼ同じ時期に相手も事故に遭うという。そして久しぶりに会うと殆ど同じ服を着ているという。興味…

「○道」と身体の使い方

剣道、柔道、合気道、茶道、華道、書道、香道など「道」とつくものは多い。古い歴史と根本精神を学びながら道を極めていくのだろうが、武道では身体の使い方を学ぶのに対して、茶道、華道、書道、香道などを究めるためにこう身体を鍛えなさいという話はあまり聞かない。技術を習得していくかで自然に身につくものなのかも知れないが、あっても良さそうなものである。我々の世界も「治療道」と言えないことはないが、はっきりと身体…

大人の言うことを100%信じない方がいい

中学生で運動部の子が部活で身体を痛めた。トレーニングの中身を聞くと、そんな事をやったら体を壊すのは当然という内容だった。本人は指導者に対して忠実なので、文句を言えない。ただ身体が酷くなっていくだけである。母親としてはどうしていいか分からない。今部活で「二合飯を何が何でも食べさせて身体を作る。」というのをやっているらしい。多少の体調不良があってもその後身体が強くなれば良いが、下痢ばかりで体調が回復し…

野球と中殿筋

仕事柄野球少年は時々診る。以前手こずった子がいてピッチャーの肩痛なのだが、何をやっても痛みが取れない。困ってある先生に聞いたら、「お尻の横の中殿筋をいじってみたら。」とアドバイスを頂いて、実践したら簡単に痛みが取れてしまった。結局、肩をフレキシブルに動かすために、中殿筋(お尻の横の筋肉)を使っているのである。逆を返すとお尻が硬いと肩は動かないということである。それ以来肩の関節の可動域を診る時は必ず…

散財してストレス発散

今日来た方は1週間前と比べて殆ど良くなっていない。症状が全部良くなってしまえば6000円頂いていいのだろうが、治療効果で言えば1000円程度しか効いていない。昔なら申し訳ない気持ちとお詫びの気持ちがあったが、最近は別の考え方を持っている。以前お金持ちの方がストレス発散法として、「最大限のオシャレをしてロールスロイスで最高級レストランへ行き、好きなだけ注文するとストレスが抜ける。」という話を書いた。…

小指を骨折して何が起こるか

常連さんが小指を骨折した。最近はリハビリも殆どやらないので仕方がない部分はあるが、小指を痛めると身体にどんな影響があるか次のような話をした。 包丁が使えない(小指が効かないと包丁を強く握れない) 小指の痛みが続くと肩や首までおかしくなる 折っていない反対側までおかしくなる 首肩の左右差で頭痛を起こしやすい 痛みに耐えると身体の神経が興奮して末端がこりやすい 交感神経優位になってしまい胃腸が動かなく…

鬱病と新人

鬱病治療をしている方がひどくさえない顔で来た。見た途端悪化がわかったので話を聞いたら、職場で人間性を疑うような人が入ってきて担当してくれと言われたという。患者さんは我慢強い方なので、「あなたがこのまま我慢すればもの凄い不味いことが起こる。そんなに問題児なら今なら社長に言って止めさせてもらえば良いが、時間が経つとあなたの病気が悪化して仕事の能率が落ちる。新人が社長に何かあることないこと吹き込むとそれ…

旅行と我慢弱さ

初めてゴールデンウィークに連休を頂いて、名古屋と奈良に行ってきた。名古屋では名古屋城と徳川美術館を見る予定だったが、名古屋城で歩き疲れてしまって徳川美術館は見ずに奈良に移動した。奈良は明日香の古墳や遺跡を自転車で見る予定で10ヶ所ぐらい予定していたが、途中から強風で6ヶ所ぐらいで自転車を返し、車で回れる範囲に留めた。おそらく殆どの方は折角来たのだから全部無理して回ろうというのではないだろうか。仕事…

頬で良かった

体調管理をよくやっている常連さんがヘルペスが出たという。初めは顔の頬の湿疹かと思っていたらピリピリするので医者に行ったら、ヘルペスと言われ抗ウィルス剤を5日間出され、事なきを得た。本人にしてみるとそんなに免疫が落ちているとは思えないし、体調も悪くないのにどうして出るのかわからないという。確かに医学書には体調が悪い時、免疫が下がった時に出るとは書いてあるが、実際は患者を診ているとどんな状況でも出る。…

妻が願った最期の『七日間』

新聞の投書欄に掲載された「妻が願った最期の『七日間』」という詩が話題となった。詩をつづった男性の思いとは。今年1月、小腸がんで亡くなった宮本容子さん。亡くなる直前、病床で容子さんが話した願いを夫の英司さんが詩に書き留めた。タイトルは「七日間」。 神様お願い この病室から抜け出して七日間の元気な時間をください 一日目には台所に立って 料理をいっぱい作りたい あなたが好きな餃子や肉味噌(みそ)カレーも…

耳鳴りと鬱病

長年耳鳴りが治らない方は多い。どうしても夜寝られなくなったり、不安になる。精神安定剤や睡眠導入剤が増えてしまう。気持ちは分からないでもないがこういう場合、診てもらっている医者が複数になると、酷い方で8-10剤ぐらいの睡眠導入剤と安定剤を飲んでいる。そしてお互いの医者が他の先生の処方を知らない。患者がこれはこっちの先生がいいと思って、一つの症状だけ相談する。仕事柄、そういう方に出ている処方箋を見ると…

踵(かかと)の痛み

以前、踵骨(しょうこつ-かかとのこと)痛に関しては書いた。中々初期に治療しないとどんどん酷くなり、歩けない場合も出てくる。ではどういう手順で治療するのか患者さんに説明したので少し書いてみたい。 病院で足のレントゲンを撮る 酷い場合は手術 注射で対応 足底板(中敷き)を作る 筋肉をほぐす 筋力をつける まず、足のレントゲンがないと中がわからない。よく骨棘(こっきょく)と言って棘が出ている場合がある。…

何故日に3つもネタを書けるのですか?

これも常連さんからの質問である。最近どういうわけかブログで来る患者がいる。講読熱心な患者もいる。有り難いことではあるが、私から見たら日に3つのブログは少ないと思う。一人の患者を治療するごとに3つや4つの事は感じる。すべて書くのは大変だが、この患者の事を書くと他の患者にばれると思い控えめに書いている。かなり重なる部分はどうしても出来てしまうが、治療家はそれぐらい色々なものを感じている。またそれぐらい…

なぜブログを書いているのですか?

近所の常連さんから、「最近ブログのアップが日に3回とか多いですが、なぜ書いているのですか?」と聞かれた。理由は2つある。 患者さんが自分の症状と似たような話に共感して頂き、どうすれば治るかを知るため 治療家が治療法に悩んだときにどうやって打開すれば良いか学ぶため 1はそのままなので理解していただけると思う。乳がんの患者さんが「乳がん」と検索窓に入れて頂ければそのまま情報が得られる。それも病院で教わ…

息子の就職と母親の坐骨神経痛

大学生だった息子が社会人になり、同居している母親は少しは楽が出来るかと思ったら、弁当は頼まれるし、帰宅後息子の話は聞かなくてはならず、大学生の時の方が楽だったという。息子の仕事が遅くなれば食事の時間も遅くなり、夜食を頼まれれば作り、たまには一緒に食べる。息子も気を使ってお菓子やケーキなどを買ってくれば、どうしても一緒に食べてしまう。その状況が3ヶ月も続けば母親が太り、坐骨神経痛が簡単に起こる。母親…

打診三角と神経興奮

身体の何処かに痛みがあると他の所まで連動して痛みが出ることを以前に書いた。肩の痛みに悩んでいる方がステロイド注射を打ってもまた痛くなり、何度もステロイドを使いたくないので何とかならないかという。身体を診たら末端のこりがひどくストレス型である。そしてもう一つ、打診三角(医者が背中をポンポンと叩いたり、聴診器を当てる場所。そこだけ筋肉が覆われていないので、中の様子がわかりやすい。)を異常に痛がる。これ…

高血圧とスプリングティー

常連さんが少し血圧が高いと言うことで、降圧剤をもらって飲んでいる。血圧のグラフを見ると早朝高血圧で、中々下がらず日に1回の薬が2回になったという。しかしまだ下がりきらず本人はイライラしている。こういう時はスプリングティーを使う。降圧剤も利尿作用で血圧を下げる仕組みなので、スプリングティーが利尿的に働けば下がるはずである。スプリングティーは身体に害はないし、胃腸薬としても使える。ちょっとしたことだが…

甘い物の取り過ぎで治りにくいお尻の痛み

転んでお尻を打撲した方が数ヶ月も痛みが取れないという。以前、尾骨痛は2つの話をかいた。「お腹を揉んで良くなる尾骨痛」と「尾骨痛について」である。患者さんの身体を診たら、異常な甘い物取りすぎで、太腿とお腹を触って腸が動いていない事がわかったので、「便秘でしょう。15年ぐらい。」と言ったら、「そうなんです。」と言う。こういうケースだと殆どの方が鼻炎持ちなので、「鼻炎もあるでしょう。」と言ったら、「花粉…

腸炎とスイッチ

減量中の方が突然下痢をして入院をしたという。多少気を使うことはあったが、何か変な食べ物も心当たりがないという。長年減量指導をしていると実はこういう腸炎は時々経験する。そういう時は我々は身体のスイッチが入ったと感じる。減量のやり始めはある程度食べても体重が落ちない時期があり、その後停滞期、そして下痢をして腸内環境が変わるのか、何かのスイッチが入るのか良くわからないが、今度は食べても痩せてくる。いよい…

病院の待合室

病院勤務時代に午前の診察は9時からだが、早い患者さんは7時30分にはもう待合室にいた。 ある程度お年寄りのたまり場になっていて、「今日は○○さん来ていないけどどうしたのかしら、具合でも悪いのかしら。」としゃべっている。 長年通っているとどうしても病院の内部事情に詳しくなり、患者の主になる。 見慣れない患者を見つけると、「あなたはこの病院は始めてか?あなたは知らないだろうがこの病院の院長は奥さんに頭…