右肩とタイ料理

これは少し前の話だが、精神科の医者が右肩が痛くて治らないという。自分で注射を打ったり、ジムに通ったがよくならないので来たという。身体を診ると右の背中が異常に硬い。これは胆嚢の反応なので、「先生、何か辛いものを食べていますか?」と聞いたら、最近仕事が忙しくて休みの日のタイ料理にはまったという。そのお店は自分で唐辛子を入れられて、毎回量が増えているという。原因が簡単にわかったので、先生に、「先生、辛い…

ヨガと下痢

数日前にヨガをやって突然腰が痛くなったという方が来た。1ヶ月前も同じような方が来たが、潜在的にヨガで身体を痛めている方は多いのではないだろうか。話を聞くとヨガをやった数日前まで宴会続きで、下痢をしていたという。学生時代から多少体調の悪い時は身体を動かして治すというのがしみついていて、気にせずやってしまったという。そのヨガは正座をして身体を後ろに倒すもので、太腿は伸びるがその後すぐに腰を痛めたという…

減量のコツ

減量に取り組んでいる方は多い。腰痛や膝痛、がんの術後の免疫治療やアトピー性皮膚炎、喘息と減量により改善する症状は多い。色々な方を診ていると減量にはどうもコツがある。いくつか披露したい。 1.まず、月に2kg以上は落とさないこと。これは体重が100kgの方も70kg方も同じである。初めは頑張り月に4kgぐらい落とす方がいるが、大体リバウンドする。逆に落としすぎると食べて欲しいと指導する。 2.食べ物…

紹介が出ると技術が1/100から1/1000になる

長いこと仕事をしていると紹介が増える。有り難いことだが、厳しい一面もある。例えばAさんが5人にしゃべったとして、5人全員良くなって次の6人目にしゃべる。5人紹介して3人しか良くならないとAさんは6人目に声をかけない。紹介する方も不安だからである。「あの先生に紹介して大丈夫かしら。」という心理が働く。こちらも神様ではないので、全員良くならないまでも今まで受けた治療で1番いいとなれば、紹介は出る。そし…

休息と甘い物

80代の女性が母の葬儀のあと介護がなくなり、最近腰が痛いという。調べてみると腹圧が異常に高い。動かなくなっても食欲は普通は落ちない。胃腸も筋肉だから身体を動かして血流が良いときは働くが、居間でゴロゴロしながら甘いものを食べ過ぎれば腹圧が上がる。「軽い断食でもしたらどうですか?」と言ったら、「絶対にいやだ。」と言う。「今どんな食生活をしているのか?」と聞いたら、「朝4時に起きてまずお菓子、6時から朝…

膝痛で揉んではいけない内転筋

飲食関係の方が膝を痛めたという。当院との予約時間が合わず、中々治療できない。仕事も休めないので、仕方がないから通える範囲でよその治療院で診てもらうといいという話をした。よそで治療を受けた後に来て、「内転筋を揉んでもらったら膝痛が酷くなってしまった。」という。担当した先生は、「あなたは内転筋が硬いからほぐさないと良くならない。」と言って、ガンガン揉んだという。その後から酷くなって、慌ててやってきた。…

心臓と胃と横隔膜

最近心臓の手術をした方が胸がまだ苦しいという。再検査をしようと思うのだが、胃薬を飲むと楽になるのでまだ医者には診てもらっていないという。この心臓と胃は密接な関係がある。心臓の症状と言えば「胸痛」だが、実は胃炎でも起こる。「胸やけ」というと胃の症状だが心臓でも起こる。結局両方疑わないとわからない。症状だけでは区別がつかない。だから心臓の症状でも胃薬で良くなることもあるし、逆もある。これは構造を見れば…

食欲を抑えるコツ

以前、「なぜ酒を飲むのか」の所で書いたが、採血をしてもらってメタボとか言われるとすこし気持ちが下がる。飲みたいお酒を我慢するのもいやだし、食べたい物は食べたい。医者に行って怒られない程度に何かいい方法はないかと考えた結果、いいことを思いついた。仕事のあとよく赤ワインを飲むが、美味しいワインは一杯飲むと後を引く。次から次へと飲みたくなり、結局5杯ぐらい飲んで翌日は身体が重くなってしまう。まずいワイン…

手の震えに関して

数年前に転倒事故で脳挫傷を起こした方が、最近手が震えるという。転倒事故の後、左半身が冷え、左手のシビレが強いという。当然頭が原因と疑うが、何度調べても頭のCT、MRI、脳波に異常が出ないという。検査で全てが引っかかるわけではないが、最近震えが酷いので調べて欲しいという。Bi-Digital O-Ring Testを使って調べたら、右の後頭部と左首の後ろに異常部位を見つけた。これは転倒事故による鞭打…

人生を幸せにするのは何?

ロバート・ウォールディンガー 人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から引用抜粋 一生を通して私たちを 健康で幸福にしてくれるのは何でしょう? ハーバード成人発達研究は史上最も長期に渡って成人を追跡した研究です。 この様な研究は非常に稀です。 これから分かった事は彼らの人生から得た何万ページにもなる情報から分かった事は何でしょう? それは富でも名声でも無我夢中で働く事でもなく75年に渡…

腰痛を逆立ちで治す話

内臓下垂による腰痛の方が最近続いている。いずれも細身の女性で慢性胃炎と便秘がある。話を聞くと食べ過ぎてお腹がきついと腰が辛くなり、足や腰を高くすると楽だと言う。典型的な内臓の機能低下と下垂である。そういう場合の腰痛は右左というより全体的に腰が重いとよく言う。骨盤内に重力で内臓が下がって、骨盤の中がぎゅうぎゅうになっている状態だ。だから少食にして逆立ちをすると内臓が、元の位置に一時的にでも戻り楽にな…

へそピアスに関して

今日はへそピアスをした子が来た。これで3人目である。最初の子は下痢が止まらないと言って来て、「へそピアスをはずせば治る。」と言ったが、「半年以内に取ると穴がふさがってしまうのでいやだ。」と言っていたので、「では下痢していなさい。」と言った。2人目は確か免疫の治療が必要でお腹を診たらピアスをしていたので、乳酸菌を勧めた。ピアスをしていると乳酸菌は11錠必要だが、はずせば5錠で済む。どれだけピアスが免…

リハビリ難民について

「がん難民」は最近有名になったが、この仕事をしていると「リハビリ難民」が気になる。昔は病院で手術をしてその後ちゃんとリハビリをして退院させていたが、どうもリハビリに対して風当たりが強い。病院内部では場所は取るし、時間は長いし、人手はいるし、おまけに点数は低い。病院経営上は極めて好ましくない。手術をしてあとは自宅でリハビリなんて事もあると聞く。ちゃんとリハビリをすれは機能が回復するのに、手術のあとほ…

なかなか治らない足首の捻挫に関して

長いこと仕事をしていると今まで数人、全く良くならない捻挫の方を診た。何をやってもダメでこちらも根を上げて、足の外科学会に紹介するが、全員が治るわけではない。場合によっては手術になり、まだ手術で治る方はいい。手術の対象にならない方もいる。毎回包帯で固定するしか方法がない。靴も限定的になってしまい、オシャレなど出来ない。人類が二足歩行してからの宿命もあるだろうが、たかが捻挫だが治療方法がないというのは…

筋膜リリース(ファシアリリース)について

数ヶ月前にNHKの「ためしてガッテン」で筋膜リリース(ファシアリリース)の話しが出た。 「がんこな肩コリ」の原因は、筋肉を覆う「筋膜」にできた「シワ」だった。 筋膜にシワがあると、せっかくほぐした筋肉も、シワに引っ張られるように収縮して再びコリをつくってしまうという。 超音波診断装置を使って筋膜のしわ(癒着している部分)を目視し 生理食塩水を注入することで、癒着をはがして、肩コリを治療する。 私自…

がんとインフルエンザ、ぎっくり腰に腹圧の話

胃がんをやった方が肺に影があるので、精密検査を受けた。問題はなかったが、子供の頃から小児喘息の既往歴があり、肺はそんなに強くはない。少し前にインフルエンザが流行った頃もらって、高熱を出した。その後ぎっくり腰をやったので、踏んだり蹴ったりである。しかし我々から診ると小児喘息などで粘膜や胃腸が弱いから、がんを起こしやすいわけだ。ぎっくり腰も調べてみると腹圧が異常に髙い。腰の治療より腹圧を下げなくてはと…

肩甲骨と予防医学

常連さんの肩甲骨はよく治療する。治療しながら。「ここをちゃんと治療しておけば将来ぼけ防止にもなるし、歯も大丈夫だし、呼吸も深くなる。」と話している。しかし中々こういう話をしてもぴんとくる方は少ない。まずぼけ防止は根拠がある。肩甲骨の間に「身柱-しんちゅう」というツボがあり、子供の癲癇(てんかん)などに使う。ここを治療しておくと頭の血流が良くなるわけだ。次に歯だが、一昨年ヨーロッパでの学会の前に歯が…

側弯症と出産

仕事柄、側弯症の方は時々診る。中学生から50才代まで様々だが全員女性である。背骨の角度がある程度進むと装具や手術になるが、進行が止まる方も多い。結局、経過観察になる。年に1-2回程度拝見しているが、学生さんで一側のスポーツ(テニスや卓球)をやる場合はこちらも細かく診てしまう。そのまま成人して社会に出ると他の方よりすぐ疲れるため、慢性の肩こりや腰痛に悩む。側弯症は何処か特定の臓器に問題が起こるという…

人に騒がれると治りにくい膝痛

飲食関係の方が膝を痛めたという。お膳を運んだりしていると、どうしてもお客さんに、「足どうしたの?」と言われてしまう。皆が心配してくれるのは有り難いのだが、実は困っているという。話を聞くと、「加圧トレーニングが1番いい。」「スポーツジムに一緒に行こう」「このサポーターを巻くといい。」「この薬は膝に効く。」「いい医者を知っている。」「何処何処の院長に頼んであげる。」とあまりに言われるので断りにくいとい…

お年寄りの味付けのコツ

親の面倒を見ている娘は多い。娘は親の身体のことを考えて薄味にする。年をとると味蕾-みらい(舌で味を感じるところの細胞)が減り、どうしても濃い味を求める。そうすると薄味にこだわる娘と濃い味を求める親で喧嘩になる。中々お互い譲らない。「こんな薄味では食べられない。」と親に言われると娘も腹が立つ。こんな時は一つ解決法がある。料理は薄味にして、食べる前に表面に塩をまぶす。お年寄りは初めの一口が大事で、そこ…