「周りから攻めろ」は我々の業界で名人と言われた鍼灸の先生が残してくれた言葉である。これは例え話だが、ある方がラーメン屋さんを始めたとする。中々お客さんが来ず困って料理の専門家にアドバイスを戴いたら、「麺を細くしなさい」とか「スープにもっとコクを出して」とアドバイスされたとする。しかし言われたとおりやっても中々結果が出ない。こんな時は周りから攻めてみるといい。近所の方に聞き取りをしたら、「あそこの家はお父さんも中華屋さんをやっていて、以前食中毒を出したことがあったので行きにくい。」「味は良いみたいだが確かおじいちゃんが定食屋をやっていて問題を起こしたことがあった。」などかわかれば、このお店の解決策は味ではなく、「引越」である。この視点の違いが治療の世界ではよくある。以前、「右肩とタイ料理」でも書いたが、肩の痛みの原因が辛いものを食べすぎて胆嚢の反射で背中が硬くなり、それが右肩に反応していたことがあった。いくら辛い右肩を診ても答えがない。先程のラーメン屋さんもいくらそこだけ見ても答えがない。孫は何もしていないのにおじいちゃんと親が原因である。こういう関係がいくらでも身体には隠されているので、視点を変えて、「周りから攻めろ」が大事である。昔はわからなかったが、今になると名人の言葉の重みを感じる。
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