症例

お年寄りの皮膚炎

お年寄りの常連さんが足が痒いので皮膚を診てくれという。診たらかなり赤くなっていて引っ掻いた跡がある。「もう血管が見えている。皮膚が剥けているので1ヶ月ぐらいは掻いたでしょう?」と言ったら、「2ヶ月は過ぎている」と言う。ある程度年をとると「老人性掻痒-ろうじんせいそうよう」と言って皮脂の分泌が悪くなり、水分が乾燥で保てなくなり、痒みを訴えてくる。まだ本人が分かっていれば良いのだが、無意識に寝ている間…

完治しない坐骨神経痛

細身で小鳥タイプの女性が坐骨神経痛でおおよそ治ったが、完治しない。以前ブログで残り5%の痛みを書いたが、100の痛みを80取り、20にしてからが大変で、残り5%だけ痛みが取れないと言われるとこちらは困ってしまう。では何故完治しないのかを考えてみた。完治しない方達の特徴は間違いなく小鳥タイプである。こういう場合は完治したら何が起こるかを考えると分かりやすい。ライオンタイプなら多少無理をしても問題ない…

若い整体師

いつもはテニスの肘痛で来る方が、今日は首が痛いという。話を聞いたら、「知り合いの若い整体師にやって貰ってから首が回らなくなった。」と言う。調べてみたら、首ではなく胸椎と言って首の少し下の骨の矯正をしたために、寝違いを起こしたことがわかった。私も長い経験の中で患者さんを壊したことは何度もある。病院で首の治療中に患者さんが倒れてしまったり・・・、語れば何時間でも失敗談はある。この年になって思うのは、「…

御身大切に

首でも膝でも長い期間痛みが続き、何かの治療が功を奏したときに試したい気持ちは分かるが、程々にしていただきたい。特に膝の場合、半月板を痛めると階段が降りられない。しかし楽になると何度も降りて確かめたくなる。結局それが原因で又痛みが出る。ゴルフで腰痛の方も痛くてクラブを振れなかったのに、少し楽になると何度も振る。楽になったからと言っても、今までマイナス30点がマイナス5点ぐらいになっただけで、身体に余…

どうして灸は効くのですか?

常連さんから、「お灸は凄いと聞きましたが、どうして効くのですか?」と質問された。以前、キズ治療というブログを書いたが、少し例え話をした。「ご夫婦で喧嘩をしていたとします。大喧嘩で口もきかない。そんな時、子供が交通事故で骨を折り、入院騒ぎになった。当然病院に駆けつけるでしょう。お父さんはお父さんなりにやることはあるし、お母さんは着替えや食事のこと、学校への連絡など色々としなければいけない事は多い。そ…

年寄りは段々子供に返る

親がそこそこの年になると子供を頼ることがよくある。一緒に買い物に行ったり、病院に付き添ったり、ご飯の支度をしてあげたりと手間がかかる。自分もそれだけの手間をかけて頂いて大きくなったのだけど、あまりに色々と言われると身内だけに頭にくることもある。特に母と娘の場合、娘は母親に対して容赦がない。「お母さん、何グスグスしているの?早くして」「だって腰が痛くてすぐには動けない。あなただって私の年になればこの…

逃げ切り組

子宮筋腫や股関節の手術は常に時間との闘いである。子宮筋腫もある程度閉経(50才程)すれば小さくなるケースが多いので、42-3才で筋腫がある程度の大きさの場合に医者は、「あと数年か、極端に大きくならなければ逃げ切れるかなぁ。」と考える。これが35才ぐらいで勢いよく成長している場合は、手術の話になってしまう。股関節の人工関節も同じようなことが言えて、昔は人工関節は10年ももたなかった。50才で初めて手…

身体の暖め方

今年は例年より冷えがきつく、私自身朝、布団から出るのに気合いがいる。患者さんの中にもホカロンを腰に貼ったままの方がよく来る。以前患者さんから、皮膚に直接貼れる「直貼」を教わったが、あまりに便利なので重宝している。今日来た常連さんは、胸元が寒いというので見たら胸にホカロンを貼っていた。本来胸は外気と空気のやりとりをしているので、そんなに温度の高いところではない。暖めること自体悪いことではないが、我々…

専門医の見つけ方

常連さんが身内に嚥下障害(えんげ-食べ物や唾液が食道ではなく空気の通り道である気道に入り込む)で困っている人がいるという。この嚥下だが、お年寄りに多く誤嚥性(ごえんせい)肺炎の原因になるので注意が必要である。聞き慣れない言葉かもしれないが、では何処で診て頂けるのであろう?「内科?」「耳鼻科?」「呼吸器?」と少し迷うのではないだろうか。こんな場合まず我々だと「嚥下外来」を探す。場合によっては「摂食嚥…

身体と生き方

40年以上仕事をしていると最近は少し説教っぽい事を言いたくなってきた。 下記に挙げるものは、身体と生き方のコツである。 基準にしているのは「体が喜ぶか喜ばないか」である。 ■悪い習慣  根を上げることは罪悪と思っている  限界までやらないと気が済まない性格  甘い物・辛いものが止められない  満腹まで食べないと気が済まない  飲んだ後は必ず締めのラーメンを食べる  物事に白黒つける癖  スケジュー…

病気は単発ではない

人が亡くなるのは昔は、「脳卒中」「心臓病」「がん」の順番だった。最近は「がん」が断トツである。結局、「免疫」か「血管」の問題であることが分かる。もちろん免疫もいい状態を保てれば、血管は年齢なりになるが、糖尿病や高脂血症があるようでは血管は持たず、短命になってしまう。最近は「慢性炎症」という言葉で、寿命に関する論文が多いが、多くの方が、「病気は単発」と思っている。例えば糖尿病、少し血糖値が下がればも…

症状に鈍感で病名に敏感

常連さんが少し眼の具合が悪いので、「じゃ、眼医者で調べて」と伝えて、そのままになっていた。今日久しぶりにその話になったとき、「緑内障と言われてショックでショックで・・・」と言う。こういう場合、以前ブログに書いたが、調べれば調べるだけ難病の情報が出てくる。緑内障だとおそらく、「失明」まで読んだであろう。しかし話を聞くと点眼液で眼圧は十分に下がり、月に1度程度の診察で経過観察をするという。これは我々か…

声のでかい奴の意見が通る

以前知り合いがオーストラリアにいて、「飛行機代だけでいいんだから、いらっしゃい」と言われ、初めてゴールドコーストに行った。その方のお宅にお世話になっているとき、地元のホテルに勤めているシェフが来て、「今働いているところは9ヶ国のシェフがいる。イギリス、フランス、ロシア、スペイン、中国、韓国・・・。皆言葉が出来るわけではないので何となく英語でやりとりしているが、何か決めるときにどうやって決まるか分か…

膝が痛くならない坂の上り方

常連さんがいつも自宅近くの山を登って筋肉に負担をかけているのに、今回は全く問題がなかったので何が違うのか聞いたら、「家内が坂はジグザグに登るといい」と言ったのでその通りやったという。これにはビックリした。奥様は治療のプロなのかと思ってしまった。我々は膝を痛めた方のリハで初めはプールで筋トレの訓練を指導する。そこである程度成果が上がれば、今度は上り坂か階段でトレーニングする。しかしきつい坂だと膝の上…

胃腸の反応は左腰と脚に出る

以前から胃が悪いとスタマックライン、下腹部の反応はハムストリングに出ると言っている。あとよく胃の反応は左の背中で、腸の反応は左腰にでる。今日来た常連さんは何故か去年の暮れに今までにないぐらい体調が回復して、ベストコンディションとなった。今日3週間ぶりに診たが、多少ベストより落ちているものの体調は悪くない。こうなると我々はあら探しをする。一番に気になったのがスタマックラインとハムストリング(胃と腸)…

皮膚と喉と胃腸は運命共同体

皮膚炎で来た方をBi-Digital O-Ring Testで全身調べたら、「喉」と「胃腸」に問題があることがわかった。 よく考えると「皮膚と喉と胃腸はつながっているので運命共同体」ということがわかる。 喉に炎症があればつながっている皮膚まで悪くなる。 ある意味皮膚は、「身体の中の粘膜の状態を表している」と言ってもいい。 慢性的に喉が弱かったり、喘息があったり、逆流性食道炎や便秘があると、皮膚炎は…

痛いのに無理をすると左腰痛が起こる

股関節を手術した常連さんが、術後大分回復してきた。今は300mぐらいまで歩けるが、その後は痛くなるという。人工関節を入れた場合、今のように寒い季節だと歩く前に相当風呂で発汗などしないと身体の中の金属は冷える。当然比熱が違うので、暖まりにくい。歯でも昔は銀歯など入れたが、寒い時は自分の歯と比べて銀歯が冷たく感じた経験はあると思う。人工関節を入れた場合はしっかり金属を温めてから歩くとかなり違う。患部を…

股関節のリハと修行

股関節の治療で通っている方が病院で注射の後にリハの先生に診てもらうという。その先生は若い女性の先生で正直言って効果を感じないと言う。それは理学療法士といってリハビリを担当してくれている。やはり若い先生だと経験がないので、適切な効果が望めない。患者曰く、当院の鍼治療の方がはるかに効くと言う。この話を聞きながら昔を思い出した。病院勤務時代にリハをやっていたが十分効果が出せたわけではない。病院に数年いる…

腰痛を制する

長年腰痛で苦しんでいた常連さんが、治療が功を奏し最近は長い時間歩いても腰が痛くないという。腰が痛いときは腰痛に支配されていて、腰の言いなりになってしまう。しかしこれはよく考えるとおかしな話で、身体の持ち主が店子の腰の訴えに屈していることになる。主従関係が逆である。腰痛はご主人である身体がなければ痛みを出せない。こういう場合どう考えたら良いかというと、「腰痛君、君は私の身体であまり暴れると治療しちゃ…

大学病院の使命は「診療」「教育」「研究」

常連さんが、「昔奥歯が横にはえていて、通っている歯医者では対応出来ないと言われ大学病院を紹介た。診察の時にじろじろ若い先生に診られた。実際の治療の途中で担当医が手を止めて若い先生に説明をしたり、少し不安だった。」と言う。これは本来大学病院の目的が、「診療」「教育」「研究」であることに起因する。「診療」は目的の1/3である。研究は何処の病院でもやっているが、「教育」が大事な使命なので若い先生を育てる…