症例

ちょっとした治療のコツ

常連さんが珍しく胃腸が動かないという。o-ringで調べてみると(-4)と確かに悪い。こういう場合にはいつも2つのことを考えている。一つは「悪い方向に向いている向きを変えること」、もう一つは「良い方向の向きを維持すること」である。まず「向きを変える」にはこの方の場合は今までもそうだがお灸がよく効く。それを維持するにはやはり胃薬がいい。この方は百草丸を飲んでいて錠数を聞いたらあまりに少なかったので少…

悩み方が下手

以前ブログで、「『気持ちに余裕がない』は心の問題ではない」と書いた。常連さんが珍しく喉を痛がり悩んでいた。今までは元気だっただけに少し喉が痛いだけで大騒ぎである。「身体の幸福」でも書いたが、「朝起きてから夜寝るまでに身体の事が頭に浮かばない」のが1番幸せである。しかし喉が痛いと、「あ、今日も喉が痛い。ちゃんとしゃべれるかなぁ。何時治るのだろう。インフルかなぁ、コロナかなぁ、薬は効くかなぁ・・・」と…

本当の医療

知り合いの歯医者さんがセミナーで、「本当の医療とは」という題で講義をされた。 興味が湧いて話を聞いていたら、「歯科治療は今まで大学で教わり、卒業後は凄いという先生の講義を世界中に聞きに行って学んだ。しかし治療をしても最後はインプラントみたいな形になってしまう。何が問題か調べたら、患者の歯肉の状態を無視して審美歯科のようにただ美しく整えるだけを治療だと思っている。しかし本来はアフリカの原住民や動物な…

鬱病治療のコツ

年配の常連さんが去年から少し精神的に落ち着かないという。たまたま「少し肩でも揉めば良くなるかも」と当院を思い出し、久しぶりに来られた。話を聞いた途端、鬱病を疑ったので、「すぐ医者に行きなさい」と話をしたが、「薬ですか?薬で治るのですか?」と聞かれた。なので「とにかく早く処置しなさい」と伝えたが、担当の医者が若すぎて頼りないという。「頼りなくてもいいから先生の指示に従いなさい。初期は効く人が多いから…

2年前の腰痛が再発

細身の女性で腰痛で通っている常連さんがちょっと下痢をしただけで、昔の腰痛が再発したという。この方は2年前に腰痛で来たが、中々治療が難しく、あの手この手といじりながら、何とか日常生活では痛みを感じないレベルまで来た。下痢もそんなにひどくなかったので、本人は2年前の状態に戻るとは全く予想をしていなかった。そういう時は悪い事が重なるもので、たまたま生理中でそれも災いした。いつもの痛み止めを飲んだが効かな…

どうせ痛くなるに違いない

常連さんがたまたま本の整理をしていつもは痛がらない右腰が辛いという。まずは右の太腿を診たら思いのほか硬い。太腿は自覚症状が出ないから仕方がない部分はあるが、これを診ただけで他の下半身もダメだと予想がつく。実際調べたら右よりも左側を痛がる。まさに「父ちゃん母ちゃん」の関係で、問題なのは左側で右は痛がっているだけである。話を聞いたら、「なんか調子よくて大丈夫だと思った」と言う。気持ちは分かるが我々は逆…

快適が当たり前

以前子供の卒業式で小学校の体育館に行ったらあまりの寒さに驚いた事があった。 「こんなに寒い中で昔はやっていたんだ。」 夏などはクーラーもなく、涼めるのが「職員室」と「図書館」だった。 運動部の部室は汗をかいたまま着替えたりするので臭かった記憶がある。 自宅に初めてガスストーブが入ったときの暖かさは今でも忘れられない。 暖かさが石油ストーブと全く違う。 コタツもあったが、今の部屋の暖かさとまるで違う…

筋トレだけで治らない?

股関節を痛めている方に以前、「プールで筋トレをすれば大丈夫です」と言ったが、実行した方から、「先生に言われたとおり、プールで筋トレを真面目にやって筋肉はついたが、股関節が良くならない」と苦情をもらったことがあった。正確に言うと、股関節を治すために必要な事は3つある。「筋肉をつける」「筋肉をほぐす」「関節を滑らかにする」だが、この「筋肉をつける」だけは我々が出来ない。他の2つの「筋肉をほぐす」「関節…

テニス肘の治らない原因はお酒

紹介で来たテニス肘の方は右肘のみならず、足底腱膜炎、膝痛、肩の痛み、腰までまるでドミノを倒したかのように全て右側が痛いという。問診で話を聞いただけで、「父ちゃん母ちゃん」が思い浮かんだ。おそらく反対側の左側がかなりダメで右側が騒いでいるだけ。試しに左の小指を診たら相当痛がる。これはもう、痛くない左側の器がいっぱいという事がすぐにわかった。試しに右側の指を触ったら、左ほどではないと言う。こうなると父…

身体の幸福

「身体の幸福」とは何を持って言うのだろうか? 私は、「朝起きてから夜寝るまでに身体の事が頭に浮かばない」と思っている。 頭痛や腰痛持ちの方なら朝起きた途端、「あ、頭が痛い、腰も痛い・・・」と言うだろう。 歩けば足が痛い、座り続ければ足がシビレる、食べすぎればお腹が苦しい、書類を見続ければ目が痛い・・・。 朝から晩まで身体が辛いと言い続けている方は多い。 ではどうやって身体を幸福にしてあげられるのだ…

挫折について

何人か学生が通っている。若い方達を診ていていつも感じるのは、「年を取っての挫折はきついが、若い時なら何とでもなる。何度も挫折を味わい、最終的に挫折しない人物になって欲しい」という事だ。これは以前聞いた話だが、中学・高校と優秀で東大も首席が卒業した子が、ある銀行に入って、「自分はこれだけ優秀だから3年程度で頭取になれる」と思ったらしい。いざ入行してみると簡単に夢は崩れ、これでは何年かかるかわからない…

怒りと過食

常連さんが少し背中と左腰が重いという。調べてみると「ヤダモン君」と「腸の反応」がある。少し嫌な事があって食べ過ぎたとすぐにわかったので聞いたら、「少し前に怒っていた」と言う。怒ると人の身体は交感神経優位になるので、胃腸が働かなくなる。しかし人はストレスを解消するために少し普段とは違う味の物を食べたがる。酒飲みで言えば「珍味」である。ストレス解消によく旅行をするが、あれも目から普段と違う刺激を入れる…

パテラ(膝のお皿)について

日舞の方のパテラ(膝蓋骨-膝のお皿の骨)を動かしたら、とても気分が悪いという。このパテラは何の問題もなければ上下左右に滑らかに動く。解剖すると太腿の筋肉の膜に包まれていて、太腿が硬くなると動きも悪くなってしまう。日舞の方は殆どが右膝か右股関節痛を訴えてくるので職業病だろうが、このパテラを動かないままにしておくとあとで問題が起こる。患者が例え嫌がっても滑らかに動くようにしておきたいと親心で思ってしま…

ダンベルと腿上げで腰痛悪化

常連さんが最近腰の調子が良くなり、鍼を打つととてもスムーズに入る。しかし突然又腰に痛みが出たという。何をやったのか聞いたら、何も思い当たらないという。こういう場合は胃腸関係を一番疑うのでお腹を触ったら、さほど悪くない。まさかと思って、「筋トレでダンベルなんかやっていませんよね」と聞いたら、「やっている」と言う。「腿上げなんかやっていませんよね」と聞いたら、「それもやっている」と言う。「まさか前回腰…

膝痛と膀胱炎

膝の治療をしている人が少し悪化した。何かあるのか聞いたら、膀胱炎があるという。内科で出してもらった薬で良くなったのか聞いたら駄目だという。そういう場合はやはり泌尿器に行ってちゃんと調べてもらった方がいい。膀胱炎の菌もある種の抗生剤だけ使うと漏れがあり、症状が中々よくならない事がよくある。膀胱炎は適切な抗生剤を使えば数回飲むだけでちゃんと効くはずである。我々が問題にするのはそういう感染があると膝痛が…

脛が硬いとストレスに弱くなる

常連さんの脛のこりが中々良くならない。原因は冷えだが、この状態が続くとストレスに弱くなる。理由は簡単で、以前からストレスがかかると末端が堅くなる話はしている。歩きすぎでも冷えでも原因の如何を問わず、脛が硬くなれば、ストレスに対応する器が小さくなってしまう。脛が硬くないときにストレスの器が10とすれば、硬くなれば半分の5程度に下がってしまう。7のストレスを受けた場合、脛が硬くなければ受け入れられるの…

右足首を捻挫すると腸が動かなくなる

常連さんが転んで右足首を捻挫した。階段を降りると痛いということで、反対側の左脚に負担がかかっている。すぐに治療すれば簡単なのだが、少し時間が経過した場合は左脚がどんどん硬くなる。そんな時に我々が一番気にするのが、「腸の動き」である。以前、便秘の治療法として、「左足ジャンプ」の話を書いた。左足だけでジャンプをすると左の股関節や鼠径(足の付け根)、下行結腸・S状結腸に刺激が伝わり、腸が活性化する。結果…

患者さんとよくある会話

スポーツや踊りなどで足を痛めている方は多い。治療で段々良くなると、患者さんとこんな会話をしている。 「あれ、この間ここが調子良くなったのに、また少し筋肉が硬くなっている。無理した?」 「いえいえ、無理なんかしていません。ほんの少しだけ負担をかけただけです。」 「ほんの少し?どれくらい?5分10分?」 「え、15分・・・、20分、30分弱かも・・・」 「前回、少し良くなっても舞い上がってはいけないと…

「不眠症」「寝違い」「喉の痛み(喘息)」の反応点は同じ場所

首を前に曲げると首と肩の間の真ん中に少し骨が飛び出ているのがわかると思う。それは頸椎の7番の骨で「隆椎 りゅうつい」と呼ばれている。 その場所は「不眠症」でも「寝違い」でも「喉の痛み(喘息)」でも同じ場所に反応が出る。 ツボで言うと「定喘 ていぜん」だ。 そこが少し硬くなってしまった場合、何が原因かわからない。 「眠れる?首痛い?喉は?」と聞かなくてはならない。 場合によっては「寝違い」と「喉の痛…

一辺に2ヶ所治療しない理由

常連さんが左腰痛を訴え、食べすぎが原因とわかったので前回左腰だけ治療をした。今日、「今度は右腰が痛い」と言う。本当は両腰痛いのだけれども、前回左腰だけ集中して治療したので右腰が「俺も治療してもらいたかったなぁ」とすねたと理由を解説した。左右差で言えば左:右は7:3。では、「左を7、右を3」治療すればいいのじゃないと患者が言うので、「理屈はそうなんだけど、実際そうやってみると患者は、『楽になった』と…