身体の中の2人

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長年治療をしていると身体の中には2人いると感じます。「本人の気持ち」と「身体の本音」です。何かスポーツをしたあとに身体をすぐ回復させたいという気持ちはわかりますが、それは「本人の気持ち」で「身体の本音」ではありません。
「身体の本音」はこれだけ私に負担をかけたのだから、少しはゆっくり治させてもらいたいと言っています。しかし「本人の気持ち」は、仕事も忙しいし来週は出張もあるし会議も長くなりそうだし、そんなにゆっくりなんか出来るわけないと思っています。
お互いに言い分があり譲りません。この勝負は一体どうなるのでしょうか。結論から言うと「身体の本音」が勝ちます。
少し無理をしても辛くなければ回復したと感じがちですが、「身体の本音」は非常に正確に受けた負担を覚えています。よく古傷と言いますが、30年や50年前でも、はっきりと身体には残っています。ですからあとになって、今頃こんな症状が何で出てくるのだろうということがありますが、そういうときは「身体の本音」が少し文句を言っているときです。
スポーツや仕事で少し負担をかけたときなどは、「身体君、ごめんね今回はたっぷり休息を取るからゆっくり回復してね。そのために必要な栄養もちゃんと取るよ。」と言えば、「身体の本音」も納得してくれます。
しかし「身体の本音」を毎回無視していると、あとでしっぺ返しをされます。それも忘れた頃に。まるでかみさんを無視し続けた亭主が受ける仕打ちのように・・・。
「身体の本音」の執念深さはすごいものがあります。長年じっと耐え、チャンスを狙い、「本人の気持ち」の一番きついところに直撃、納得するまで一歩も引かず、不適切な治療には全く反応しない、的確な治療のみ反応してくれる。それも少しだけ。
治療しながら「身体の本音」の怖さを感じています。人間の身体も自然の一部ですから、「本人の気持ち」だけでは健康にはなれません。
健康法のコツは身体の内なる声に耳を傾け、「身体の本音」に従うことです。

2015年7月29日 | カテゴリー : 症例 | 投稿者 : 東洋鍼灸院 田中