自分の身体のことは分からない

最近常連の社長が、「今日は何処が辛いですか?」と聞くと、「んまぁ、ちょっとやってくれる。」と言って自分の辛いところを言わない。いつものように治療が始まれば私は、「何ですかこの腰・・・。」とか、「首が何ともない。ヤダモン君もない。」などと感じたことをしゃべりまくる。社長はおとなしく聞いていて、「ふーん、そうか。そんなに腰は悪くないんだなぁ・・・。」とか、「心臓もゆとりがあるのだなぁ。」と一人言を言い始める。数分経つと秘書に電話して、「今度の○○の予定、変更してくれ。」と言っている。これは何を意味するかというと、「自分の身体のことは分からない」ということである。自分では腰が悪いと思っていても、触ってもらってひどくなければ問題はない。逆に問題ないと思っていたところが硬くなっていれば、注意が必要である。この社長は以前から自分で感じている身体の状況と、私が言う身体の現状のずれを毎回感じていたそうである。自分でどちらが正しいか検証したら、常に私の言うことが正しかったという。それ以来、「今日は腰が辛い・・・。」とか言わずに、黙って私の話を聞くようになった。これはその社長に限った話ではない。殆どの方は自分の身体の現状を理解していない。理解していないというよりは感じられないのである。触ってもらって初めて分かることは多い。大分前だが私が酷いぎっくり腰をやったとき、スタッフに治療してもらったら、「こんなに片脚だけ硬くなっているの?触ってもらうまで分からなかった。」と自分でもビックリしたことがあった。治療家が分からないのだから、一般の方がわかるわけがない。よく我慢強い方が、「そんなに酷いとは全く思わなかった。」と言うが、少し危ないと感じたら、触ってもらうしか解決方法はない。不安を感じ続けるより、触れば問題は解決する。

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