症例

お母さんが怖い

最近は減ったが一時期何人も保育士さんが来ていた。当時は保母さんと言っていたが、子供が好きで保育士になったのに、保育園に行きたくないという。理由を聞くと皆同じように、「お母さんが怖い」と言う。どういうことなのか聞いたら、「この間うちの子供がご飯のあとだろうが、少し胸が汚れがそのままだった」とか、「上着のボタンが掛け違ったまま帰ってきた」とか、「保育園で甘やかされると困る」とか、結局、「安心して預けら…

按摩泣かせ-2

今日新患で来た方は典型的な「按摩泣かせ」である。細身の女性で典型的な小鳥タイプ。見ただけで「今まで太ったことがないでしょう。喉が弱いでしょう。納得のいく治療を受けたことがないでしょう。粘膜弱いでしょう。」と言ってしまった。では何が難しいのかであるが、「ここからこの範囲に刺激量を入れなければならない」ということである。普通の人が1~100の刺激量(100の刺激量が強いとして)で大体、30~80の範囲…

突然なくなった末端のこり

以前よりストレスによる末端のこりは何度か書いている。今日来た常連さんは先月と全く違う身体に変化してしまった。まずパソコン仕事なので、腕が相変わらず酷いと思ったら殆どこりがなくなっている。「きつい仕事が半分になったのか?」と聞いた、「全く変わっていない。」と言う。脛もこりがないし、お腹まで柔らかい。こういう事は何度か経験しているのて理由は「諦める」「悟る」「気がつく」のどれかである。中々坊さんでもな…

治療をやめる話

今日来た常連さんは、少しお腹が硬い。もちろん自覚症状などないが、このまま悪化することもある。少し悪い段階で病気の目を摘んでしまえば簡単に良くなる。そんな話をしたら、「じゃ、このままにしたら悪化するのですか?」と聞くので、「悪化するか良くなるかは本人の生活と体力次第。あなたの場合はまめにうちに来るからもう10年ぐらい大病しないでしょう。本当はこういう場合、治療を3ヶ月ぐらいやめるといいのです。乳酸菌…

言葉が野蛮な医療

久しぶりに来た90才のお年寄りに、「最近健康診断をしていないなら、一度受けて下さい。その後で血液を持ってきて下さい。」といつもの口調で言ったら、「病院に行って血液を持って帰りたいと言ったら断られてもってこれなかった。」と連絡があり、こちらは焦ってしまった。もちろん血液というのは採血結果のデータのことなのだが、殆ど医者にかかったことがない方が真面目にこちらの言葉の通り受け取ってしまうとこういう事が起…

英会話について

私自身英会話を基礎から学んだわけではないので、きちんと喋れるわけではないがリーマンショックの前までは、日に2-3人、月に50人ほど外人さんを治療したお陰で少しずつ言葉を覚え、EnglishならぬJanglishは身についた。初めのうちはうつ伏せが言えずジェスチャーをしたら、「Face down」と言われ一発で覚えた。なら仰向けは「face up」かと思って 外人に言ったら、首だけ上に上げ空を見る格…

国連の仕事

今日来た若い方はやがて国連で働きたいという。そういう夢というか憧れを持っていることは話を聞いているだけでも気持ちが良い。以前関係者が来たときに、「国連は端から見えるよりもの凄くドロドロしている。権力に駆け引き、搾取にだまし、差別に偽りなど当たり前。国益という名の下に何でもあり。平和ぼけしている日本の感覚は全く通じない。」と教えて戴いた。テレビなどで国際紛争を見ていてもそう思う。若い方に、「おそらく…

期待値を下げろ

今日来た常連さんは病気の母親のことで姉と折り合いが悪いという。姉は弟を意のままに使いたい。弟は色々な事情で姉の言うとおりに出来ず悩んでいる。期待する姉とそれに十分答えられない弟との構図である。私は一人っ子だから姉弟の関係というのはいまいち理解出来ないが、想像するにおそらく姉にしてみたら、小さい頃から弟の面倒を見てきたろうから何か生意気なことを言われれば、「弟のくせに生意気。あの時助けてあげたのは私…

すべて腸で説明できる

今日久しぶりに来たお年寄りは90才で、もう30年診ている。今まで大病をしたことがなく、多少の腰痛もほぼ1回の治療で良くなる。だからおみえになるのは年1-2回程度。「最近フラフラよろけて、立ったり座ったりもしんどい。何が悪いのかわからないが、まず診て欲しい。」というので話を聞いたら、最近少し便秘が酷いという。今までは2-3日毎に出ていたのが、最近は7-10日程出ないという。それは大変だと言うことでお…

また来た筋トレでぎっくり腰

以前から、何故か同じ病気の方が続けてくる。まるで伝染病のようである。昨日に続き、今日来た常連さんはぎっくり腰で歩くのがやっとである。何をしたか聞いたら、「特別には何もやっていない。」と言う。太腿を診ると真ん中に大きなしこりがある。これは少し気合いを入れて、階段を上り下りしたことを意味する。聞いたら、「多少したかもしれない。」と言う。次に太腿の外側が硬い。これは少し蹴るように力を入れていたことを意味…

筋肉を鍛えるつもりが炎症

常連さんが珍しくふくらはぎがつるという。今までそんな事を言ったことがないのでまず太腿を診たら異常に硬い。これは階段の上り下りか自転車でも頑張ってこいでいるのだろうと思い聞いたら、何もやっていないという。次にお尻を診たら坐骨神経ではなく、横の中殿筋が硬い。これは足を踏ん張って荷重をかけていることを意味する。階段も上らず何を踏ん張っているのか問い詰めたら、「数ヶ月前に入院して足の衰えを感じたので、普段…

患者さんの不安は情報不足が原因

常連さんが今回、股関節の人工関節置換術を受けることなった。この方は2年ほど前から腰痛が悪化し、今までのように治療しても楽にならなくなり、これは一度調べてくださいということで検査の結果、中等度の変形性股関節症がわかった。本人は何とか手術をしない方向で考えていて、私の「大丈夫です。手術しなくても何とかします。」という言葉を期待していたようだが、痛みが段々酷くなるにつれ、私が「これは手術以外方法がありま…

あれもこれも治療しない方がいい

肩の痛みで通っている人が、突然ぎっくり腰を起こしたという。下半身を調べてみると筋肉の硬さから1-2ヶ月間ほど相当負担をかけていることがわかったので話を聞いたら、「従業員が辞めてしまって私が現場で作業をすることになってしまった。少しきついとは思ってもう2ヶ月ぐらい経つ。」と言う。「いつもの肩もまだ痛いから腰と肩を両方お願いしたい。」とのことだったが、「こういう場合は腰だけ集中してやった方が成績が良い…

車酔い

常連さんが車で書類を見ていたら酔ったという。私自身も電車では酔わないのに、何故車では酔うのか少し考察してみたい。原因は2つ考えている。一つは「匂い」もう一つは「予想しない揺れ」である。車には独特の匂いがある。乗っている本人は気がつかないが、他人にはすぐに分かる。エアコンのカビなどが原因であろうが、これならある程度芳香剤で良くなる。もう一つの揺れは、車を自分で運転していると酔わないのに、横や後部座席…

心と身体のずれ

今日来た方は会社を作ってまだ半年しか経っていない方で、極めて心と身体がずれていた。主訴は頭痛で首を診たら極端な左右差がある。腰も痛いというので診たらこれまた極端な足の左右差がある。特に酷いのが首で、左右差の原因は「心と身体のずれ」である。身体は会社を作って緊張が続いているのに、本人は少し心を緩めた。我々はよく「交感神経優位」や「副交感神経優位」という言い方をするが、仕事をしているときは「交感神経優…

患者道

凄い名前だが、患者にも道がある、患者のプロになれということである。今日来た患者は関節の痛みの注射をしていて、一時期より大分いい。担当の先生になんて言っているのか聞いたら、「まだ痛いんです。」と言うという。これでは患者のプロになれない。「先生が処置をして頂いたお陰で以前は2週間も良い状態が続かなかったのですが、最近は2週間経っても大丈夫なんです。これは本当に先生のおかげです。有り難いです。しかし少し…

身体が一番嫌うこと

先日患者さんから、「何が一番身体には悪いのですか?」と聞かれ、「過酷と過食です」と答えた。 日本人の遺伝子の中に、「つらかったけどよく弱音を吐かずに頑張った」という美意識がある。 以前、相撲の貴乃花が優勝決定戦の時に膝に怪我していたが痛みに耐え武蔵丸を投げ飛ばした。その時は鬼の形相で記憶に残っている方も多いと思う。優勝杯を小泉総理から渡されるときに、「痛みに耐えよく頑張った。感動した」という場面が…

どこへ行っていいか分からない

今日来た方は胃炎と声がれがあり、胃炎は薬でよくなった。声がれがあるので、「内視鏡で見てもらったら?」と言ったら、「胃カメラはやったばかり。」と言う。胃カメラは喉から食道・胃と行ってしまい声帯を診れない。耳鼻科で診てもらわないと分からない。そんな説明をして、「胃炎があったことを耳鼻科で言って下さい。」と言ったら、「え、耳鼻科で胃炎を言うのですか?関係ありますか?」というので、「声帯炎はよく逆流性食道…

変わらない職業

私はバイクが趣味で、時間が取れたときなど田舎道を走るのがとても楽しい。そんな時いつも感じているのが、「3つの職業は強いなあ。『床屋』『介護施設』『お寺』は絶対潰れない。」という事だ。「介護施設」や「お寺」は分かると思うが、パーマ屋さんは潰れても床屋は潰れない。理由は簡単である。男性は床屋を変えたくない。いつもの所でいつもと同じにやって貰いたい。女性は新しいパーマ屋さんができると行って見ようと思うら…

ゴルフをするとこうなる

私自身ゴルフをやったことはないが、ゴルフで体を壊した方を診るのは専門である。以前、ゴルフで負担のかかるところはどなたも同じを書いたが、上手な方程同じ筋肉しか使わない。この安定した筋肉の使い方というのは、おそらくボールが真っ直ぐ飛んだり、飛距離なども調整できるのであろう。慣れていない方程筋肉の使い方がバラバラなので、ボールが何処へ飛んでいくかは分からない。当然スコアも良くないと思う。慣れた方でも少し…