症例

何か違う肩の痛み

数年前に右五十肩をやって、数年かけて治した方が今度は左肩が痛いという。右肩の時は突然痛くなったが、左肩の時は徐々だという。右肩の時は手にシビレはなかったが、今回はシビレるという。何となく違う感じはするが、五十肩だろうと思い、色々治療したが良くならず久しぶりにおみえになった。まずレントゲンを撮ったか聞いたら、撮っていないという。詳しく調べてみると五十肩の特徴がない。前回の右肩の時、首に痛みはなかった…

間違った健康食品選び

長年仕事をしていると、強者の患者が来る。 健康食品にこだわっている方の中には、以前最高で20数種類のサプリを持参し、オーリングテストで診てくれと言う方がいた。 詳しく調べたら、3種類しか身体に合っていなくて、「あとはいらないの?」と聞くので、「今の身体には必要ありません。」と答えた。 では何故こういう事が起こるかであるが、本人に聞いたら、「知り合いが多いので、少し具合が悪いというと必ず何かを勧めら…

治療のゴール

骨折の治療などでもそうだが、何処に治療のゴールを設定するかはすこし難しい。患者さんは、「100%の完治」を目指すし、我々は、「日常生活で辛く感じない」でいいと思っていて少しずれる。以前も、「残り5%の痛み」で書いたが、100辛いものを80取って、残り20%までが1番楽で、そこから15%、10%、5%と下がるにつれ、治療が大がかりになる。勉強していない生徒が少し勉強すれば80点は取れるが、そこから9…

リハビリをしないことがリハビリ

交通事故で骨折をした方が、足首の調子が悪いという。この足首だが少し治療の考え方がある。この足関節は、身体全体を支え、バランスを取るという「固定-安定」の働きと、相反する「可動性」が求められる。肩関節なら殆ど動きなので、どんどんリハをすればいいが、足首は動かしすぎてしまうと、「固定-安定」が損なわれてしまう。車で言えば、「この車、エンジンが凄いんです。ブレーキを踏んでも止まらないんです。」と言われれ…

右手を怪我しても、左手を怪我しても「それは良かった」

仕事柄、骨折後のリハビリで来る方は多い。左腕を骨折した場合、「それは利き手でなくて良かった。」と言い、右手の場合は、「利き手でよく使うので早く治る。」と言う。以前、左手を痛めた後、右手も痛めた患者がいて、「利き手でよく使うので早く治る。」といつもの通り言ったら、「先生,左手の時に、『利き手でなくて良かった。』と言いましたよね。」と突っ込まれてしまい、少し返答に困ってしまった。我々からすれば、どちら…

健康法を学ぶ機会がない

患者さんとよくしゃべっていて、良く感じるのは、「健康法を学ぶ機会がない」ということである。小学校で理科か保健体育の授業で、心臓、血管、肝臓、肺などは最低限学ぶが、そこから病気の話には中々ならない。持病でもあれば病院に通いながら色々と病気のことなど覚えるが、お産以外医者にかかったことがない方だと、何処で健康法について学べば良いのだろうか?親が健康オタクなら色々と言われるだろうが、殆どの方は社会に出る…

立場による見方の違い

新型コロナウィルスの影響でズームでのオンラインセミナーが盛況である。 今までなら月に1回のセミナーに参加するのも大変だったが、最近はあまりの手軽さと料金の安さに多いと週に6-7回参加している。 セミナーを開催する側も今までなら、会場の手配、懇親会の手配、チケットや先生方への依頼など大変だったが、オンラインセミナーだと、紙の案内状はいらないし、プログラムも簡単、担当される先生に、「少ししゃべって下さ…

腹筋を鍛えて腰痛

サッカー選手が突然腰が痛くなったという。ボールを蹴りすぎて脚のバランスを崩したのかと思って下半身を診たら全く問題がない。こういう場合殆どの原因がお腹なので、お腹を触ったら異常に腹筋が発達している。サッカー選手はこんなに腹筋は発達しないので、「何かやっているでしょう?」と聞いたら、「ここ数週間、腹筋のトレーニングを自宅でやっている。」と言う。「トレーニングをし始めて少し経ってから腰が痛くなったのでは…

「私は骨棘(こっきょく)とヘルニアがあるから」について

首の痛みで通っている方が、最近調子が良く、65%痛みが取れたという。医者からは「骨棘(こっきょく-骨が変形してトゲのように見える)」と「頸椎椎間板ヘルニア」を指摘されている。当院では「腕の治療」「噛み合わせ」「鼻炎対策」しかやっていないので、「骨棘」と「ヘルニア」には全く手をつけていない。しかし痛みが取れてきたということは、「骨棘」と「ヘルニア」が痛みの原因ではなく、ただ首の状態がそうなっていると…

隙間を埋めたり、取り戻そうとする心の働き

去年の年末はGo to トラベルが突然なくなってしまい、年末年始を良い宿で豪華に過ごそうと思っていた方達が旅行に行けなくなってしまった。その分自宅で豪華に過ごそうとおせちが馬鹿売れしたという。セブンイレブンやおせちを扱う業者が、「突然多くの注文を頂いても、全く対応出来ない。」と残念がっていた。話を聞くと、材料の調達や手間仕事なので、突然1000個と言われても年内には対応出来ないという。Go to …

口に入れている物全て

以前、減量指導をしていた方、「食事の内容をすべて書いて持ってきてください。」と伝え、2週間後におみえになった時に、「ちゃんとやったつもりなのに、全然体重が落ちない。」と言われた。内容を見ても、カロリー的には問題はないし、原因がわからなかった。色々と話をしながら、「何か他に食べています?」と聞いたら、「え、煎餅10枚。」と言う。「どうして書かなかったのですか?」と聞いたら、「先生は食事を書けと言いま…

体験したから分かったこと

今年の正月はぎっくり腰の実験をして失敗して、動けないことから始まった。 今までも何度が実験をして、考え方が変わってしまったのでその話をしたい。 1.ぎっくり腰-以前は、「ぎっくり腰は腰の炎症だから冷やして風呂はダメ。」と言っていたが、風呂で温めて楽になったという声が増えてきたので、自分が腰を痛めたときに実験してみた。入ってみてビックリ、痛みが半分以下になっていた。その体験以来、ホームページのぎっく…

百草丸を続けることの意味

百草丸は長野の御嶽山が有名で、山岳修験者の常備薬として数百年の歴史を持つ胃薬である。以前、「昔からある薬は他の薬とぶつかりにくい」と書いたが、私などはもう数十年毎晩枕元に置き、忘れないようにして飲んでいる。いちいち錠数など数えず、何となく調子が悪ければ多め、調子が良ければ少なめ程度の処方である。以前、「胃腸から崩れる」でも書いたが、体調を壊すのはまず「胃」からが多い。次に腸、そして腹筋が働かず、腰…

魔の季節

これは大分古いドラマなので正確な内容は覚えていないが、幸せに暮らしていた主婦がある時から自分の人生に疑問を持ち始め、新しい人生を切り開こうとする。ご主人にしてみれば何が不満なんだかわからない。そんな中で夫婦のすれ違いが起こる。以前から夫婦のすれ違いに関しては、「子宮と性格」「夫源病について」で話は書いたが、よく50代から60代半ばまでの女性で、今までと違う価値観や今までのことが受け入れられない方、…

見せかけの健康

常連さんの全身状態を測ったら最近の中で1番いい。今まで胃の治療や乳酸菌、温灸などを指導してきたが、本人は何処も異常が出ないので、「温灸をやめてもいいか?」と聞いてきた。我々からするとこの良い状態というのは、「見せかけの健康」であって、身体が芯から治ったわけではない。今までは色々な問題点に対応しつつ、たまたま良かっただけである。土台がしっかりしているわけではない。だから温灸1つ取っても少し減らすのは…

暖かいブーツと鼠径の痛み

常連さんが珍しく右の鼠径がかなり痛むという。いつもは左の鼠径を治療していたのに、何があったのか聞いたら、「少し高いヒールは1日しか履いていないし、思い当たる節がない。」と言う。太腿を治療したら、筋肉の硬さが2週間程経っている感じがしたので、「1日だけ負担をかけたのではなく、2週間普段と違うことをやったでしょう?」と聞いたら、「あ、少しブーツが重いと感じた。最近寒かったので一番暖かいブーツを履いてい…

腰を鍛えようとした事が全て裏目

腰椎椎間板ヘルニアで通っていた方が、今度ジムに通いたいので診てくれという。脚を診たら太腿が硬い。これは階段を駆け上がったか、自転車をこいだか、サッカーなどをやった事を意味する。そして脛も硬い。今まで硬くなっていなかったから、これはダッシュしたことを意味する。筋肉の硬さから3週間ほど経っているので、「去年のクリスマスぐらいから、毎日かかさず何か太腿に負担をかける事を気合いを入れてやりましたね。そして…

治りかけにかかった医者が名医

風邪を引いたときなどはまずは近場の医者に診てもらう。症状が悪化すれば大学病院。それでも治らないと少し遠くてもお世話になっている先生に診てもらう方は多いと思う。風邪などのウィルス感染症には勢いがあって、風邪の引き始めからある程度の期間は、上り調子に症状は悪化する。悪化するので大学病院で診てもらうのだろうが、それでも良くなっていないときには、既にある程度時間が経過している。ウィルスも減退期に入り、いわ…

自分で出来る努力が大事

時々患者さんで、「真面目に通いますから、ちゃんと治してください。」と言う方がいる。 身体を診ると慢性的な食べ過ぎや過酷な労働をしている方に多い。 そういう状況は我々から見ると、「毒と胃薬を同時に飲んでいる」ようなものである。 身体を診ながら、「毒をやめたら胃薬いらないのでは・・・。」と思ってしまう。 本人は身体に対して負担をかけていることが、毒とは気がついていない。 生活の中で当たり前になっている…

ぎっくり腰治療失敗談

新しい年になりあまり家の中にいるばかりでは善くないと思い、伊豆までドライブをして大室山に登った。標高580mで山頂までリフトがあり、軽いハイキングコースである。少し寒かったが帰りに渋滞に遭い、運転をしながら軽く腰に痛みを覚えた。自宅に戻り軽いぎっくり腰なのでこういうチャンスは中々ないと思い、今までやろうと思っていても中々出来なかった実験をいくつかやってみた。前回は「ぎっくり腰は炎症だから風呂は禁止…