症例

死ぬまで飲む薬

常連さんがいつもの医者に、「この薬は死ぬまで飲む。」と言われてがっかりしたという。気持ちは分かるが私からすると、「治療法があって良かった。」「飲めば何とななるのだからよかった。」と思ってしまう。そこで例え話をした。歯が1本欠けたとする、放っておけば虫歯になったり、隙間が出来たり、噛み合わせがおかしくなったりするから、何か詰め物や入れ歯など新しい物を入れるだろう。その新しい物に対して、「この歯は死ぬ…

我々には治せない肩こりと首のゆがみ

長年仕事をやっているとどうしても難しい方が多い。最近はネットで検索してくるから、一筋縄でいかない方ばかりである。そんな方達の身体を診ながら、「結局、我々は噛み合わせや鼻炎から来ている方の肩こりや首のゆがみは治せない。」ということを強く感じる。揉んですぐ治る方など殆どいない。そして肩こり以外にも頭痛、胃腸障害、冷え性、喘息と症状は多い。しかし無力ではない。敢えて言えば身体にとって良い環境を作っている…

先生の健康法は何ですか?

仕事柄、患者さんに身体に関して色々と言っていると、「先生の健康法は何ですか?」と聞かれる。 健康オタクの患者さんからすれば、その程度しかやっていないのですか、と言われるだろうし、身体のことを何も考えていない方から見ると、そんなにもやっているですかと言われるかもしれない。 日常生活事にまとめてみたい。 目が覚めたら考えていることはいかにお腹をスッキリさせるかだけである。習慣でエメラルドコーヒーを一缶…

悩み方にもコツがある-1

仕事が忙しい常連さんが、中々精神的にも安定しない。話を聞いていると悩むのはわかるのだが、悩み方がちょっと違うと思ってしまう。こんな例え話をした。「例えば指を怪我して動かなくなってしまった患者がいたとする。治るレベルなら治療をすればいいが、治らない方もいる。今現在治る治療法がこの世にないのなら、悩んでも意味がない。そこでどうしても治したいと悩むより、『この指は動かないが手を使うときに不自由のないよう…

高校生の頭痛

常連さんの高校の娘さんが頭痛が治らないという。話を聞くと部活が大変で、あまりに治らないので鎮痛剤だけ増え、CTも撮ったが、らちがあかないという。こういう場合、どう考えるかを列記したい。 古傷の可能性 噛み合わせや口の中の問題 鼻炎 過緊張 腸の問題 生理と連動 筋、骨格の問題 まず「古傷」だが、本人も気がついていないときに親が子供を落としたとか、転んだとか、何か外傷性の場合がある。「噛み合わせや口…

コンビニ食と結核

常連さんが珍しく体調が良く、あら探しをしていたらハムストリング(太腿の裏)だけ硬い。これは「下腹部の問題」を意味するので、お腹を触ったら臍の周りが硬い、それも深いところにこりがある。これは長年にわたり腸の調子が悪い事を意味する。食生活を聞いたら、殆ど自宅では食べず外食が多いという。体調が悪くなると断食をして体調は戻るのだが、また食べるとおかしくなると言う。この話を聞いて私自身にも同じ経験がある。少…

何をやっても治らない胸の痛みの考え方

息子さんがネットで調べて、「父なんですが、胸の痛みが取れずに困っています。少し前に帯状疱疹をやってその後鎮痛剤が1つ2つ3つと増えて全く効きません。あまりに効かないので神経ブロックにまわされましたがそれもダメです。おたくで何とかなりますか?」と電話してきた。「診てみないと・・・。」と答え、おみえになって資料を見たら、血液は全く問題なし、鎮痛剤も筋肉を緩めるもの、神経の興奮を治めるもの、終いには安定…

検索ワード

久しぶりに常連さんが、胸が痛いという。何箇所か医者に行って詳細に調べたが何も出ず困っていたという。ネットでも調べたが、中々良い治療法に出会えなかったという。どうしていいか分からないところに当院からの年賀状で、久しぶりにかかってみようと思って来たという。調べてみると典型的な「胸骨のゆがみ」で、「この症状ならうちのホームページに書いてある。胸骨はわかりにくいから、『胸の前面』と解説している。」と言った…

後手に回る

常連さんが左首の腫れが長引いていると言う。話を聞くとちょっと遅いがちゃんと抗生剤は飲んでいる。しかしまだ腫れは引いていないという。まず抗生剤を飲み続けて我々が気にするのは腸である。腸内細菌が殺され、腸の反応点が腰や足の太腿の裏に出る。患者さんを診ると見事に出ている。「抗生剤を飲んでからお腹の調子と腰が重く、足が冷えるでしょう。」と言ったら、「そうです。」と言う。次に左首の影響で良く同じ側に頭痛が出…

本当のことはわからない

ご紹介で膝痛の方が来た。松葉杖でいかにも痛々しい。レントゲンの結果を聞いたら異常はないということなので、定番のリハを何度かやったが、今一治りが悪い。こういう場合は何か見落としがあるので、「MRIを撮ってきて下さい。何か出ても不思議はないですよ。」と言って撮ってきてもらったら、「レントゲンを撮った先生に言ったら、MRIを撮ってくれて『少し膝の後ろに異常があるから少し安静にして下さい。』と言われた。」…

右脇腹の痛み、どうしたら良いの?

この仕事を長くやっていると相談事は多い。常連さんのご主人が右の脇腹が痛く医者に行ったが、何も出ず鎮痛剤だけだったという。こういう場合、どうすれば良いのかと電話がかかってきた。「まず3つのことを考えます。一つ目は右のその場所は『胆嚢・十二指腸』食後30分ぐらいで痛みなったり、少し便の色が白っぽくなれば内臓を疑う。そういう場合は再度医者に行って検査。二つ目は帯状疱疹、今は出ていないかもしれないが赤いプ…

抗菌抗菌と言い過ぎ

以前、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターの谷口克センター長のご発表で「子供を花粉症にしないための9カ条」を紹介した。 「子供を花粉症にしないための9カ条」 1.生後早期にBCGを接種させる 2.幼児期からヨーグルトなど乳酸菌飲食物を摂取させる 3.小児期にはなるべく抗生物質を使わない 4.猫、犬を家の中で飼育する 5.早期に託児所などに預け、細菌感染の機会を増やす 6.適度に不衛生な…

膝痛の原因が甘い物取りすぎ

若い女性がマラソンをはじめて膝を痛め紹介できた。膝を詳しく調べても半月板や靱帯などあまり異常が見つからない。しかし脛やハムストリング(太腿の裏)が硬く、内臓がらみを疑った。お腹を触ったら数日間の便秘状態、腰を触ったらこれまた腸の反応点が出ている。背中を触ったら明確に甘い物取りすぎ、それも数年以上。年齢から逆算すると高校生になってしまうので、「あなたは学生時代から便秘症で、社会人になってから甘い物取…

予防とポイント

テニス肘で通っている方に、「あなたみたいに週5回もテニスにはまっていると、中々治療もうまくいかない。これは厚労省の関係者から聞いた話だが、例えば体重が80kgの方が努力をして75kgになったら医療費を安くする。逆に85kgになったら医療費を倍する案があるという。これには大賛成で暴飲暴食している方達も、摂生している方達も医療費が同じというのはおかしいと思う。しかし現実的には実行するのが難しいという。…

どうやって身体の声を聴くのですか?

仕事柄患者さんには、「身体の内なる声を聴きなさい。」と指導をしていますが、「どうやって身体の声を聴くのですか?」と質問が来た。 普段何気なく使っている言葉だが、いざ説明するとなると少し難しい。 例え話をすると、外食や宴会などで少し食べすぎたときに、「あれ、お腹が少し重い。」と感じたらもうそれは身体の声です。 旅行などで歩きすぎたり、座り疲れで足や腰がきついなぁと感じただけでもうそれは身体の声です。…

上昇志向

70台の常連さんが四股を今までは40回、正月は頑張って50回に増やしたら、普段痛くならないところが痛くなってしまったという。別の常連さんはスキーにはまっていて、何級とか指導員とか取りたくて身体を酷使している。我々から見ると年を取れば体力が衰えるのだから、現状維持が最高なのに40回のものは35回に減らせばいいのに、上昇志向で増やそうとする。今までスキーで3級だった方は2級1級と上を目指す。それ自体は…

お正月とぎっくり腰

新年にぎっくり腰の方が来ると、ろくに腰も診ず食べ過ぎが原因だと思って、まず胃の治療から始めてしまう癖がある。何十年も「正月は断食を」と言い続けているので、当院の患者さんには大分浸透してきたが、外部の方からすると、ぎっくり腰でいきなり胃炎のツボ(左太腿の外側)から治療されると驚いてしまう気持ちは分かる。先日来た方も何も疑わずに胃の治療から始め、脚の反応点を診たら数ヶ月の時間が経った硬さなので、「もう…

看護師から鍼灸師へ

NICU(新生児集中治療室)にいた看護師さんが久しぶりに来て、今度は鍼灸学校に行きたいという。あまりに突然のことでびっくりするやら嬉しいやら。話を聞くと私の影響も少しはあるとのこと。早速、鍼灸業界の問題点などを話し、今後免許を取った後どう展開していくかという話になった。昔に比べ鍼灸学校の開設が大幅に緩和され、今では生徒不足が深刻な問題になっているので、入学は問題ないとして、問題は開業で食べられるか…

書道で疲れる反対の腕

以前書道家の方の治療をしていたときに、さぞかし右手で筆を持つので右腕から右肩がこっているだろうと思ったら、実際は逆で左腕から肩が酷かった。何故こうなるのか長い間考えたが理由がわからなかった。あるとき車の運転をしながら、高速道路でアクセルを踏むのは楽だが、渋滞になるとちょっと踏んだり離したり、足が疲れる。微調整の方が大変と気がついた。その後で先生に、「先生、左腕を使わず右手だけで書けるものですか?」…

最後の「七日間」

  神奈川県在住の宮本英司さんが、2018年に45年間連れ添った妻をがんで亡くされた。 奥様が生前に綴った詩「七日間」を新聞の投稿欄に応募したところ、掲載されて大反響となり、先日NHKでも取り上げられた。番組の中では死後見つかった日記に、ご主人を思う気持ちや辛い闘病生活のことが綿々と綴られていた。 「七日間」 神様お願い この病室から抜け出して 七日間の元気な時間をください 一日目には台…