突然違うことを言い出す重鎮の先生

この業界に長くいると今までと突然違うことを言い出す重鎮の先生がいる。例えば栄養学の先生で、「蛋白質を十分取っていれば大丈夫。」と言う考えの先生がいたとする。患者の9割ぐらいはそれで良くなる。しかし長年やっているとそういう重鎮の先生には難しい患者が集まり、自分の主張の蛋白質だけでは対応出来なくなる。数%は別のやり方を使わないと治らない。普段は言わないが、そういう先生は、「ミネラルを使わないと良くならないなぁ。」と感じているが、しゃべらない。そして何かの時にそういう患者の話になると、「蛋白だけではダメ、だから僕は昔からミネラルの重要性を言っているではないか。」となる。側近の方達は何となくは感じているが、直接先生の口からそういう話を聞いたことがないと皆驚いてしまう。まして外部の方からは、「ある先生は蛋白質だけ出いい言っていたのが、最近は考え方を変えミネラルのことばかり言う。」となってしまう。重鎮の先生は色々と考えている中でその一部分しか言わないから、そう見えてしまう。今まで何度かそういう場面に出くわしたが、この年になると先生の気持ちは分かる。決して意見を変えたわけではなく、より完成度の高い治療法を求めているだけである。何事も背景までわからないと正しく伝わらない。ようやくそういうことがわかる年になってきた。

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