見る、観る、診る、看る

この4つは全て、「みる」と読みます。しかし意味が全く違います。
まず「見る」ですが、これは眼で確認する事を言います。特別見ているときに意識はしません。ただ見ています。
しかし「観る」になると、観察という意味ですから、注意深く意識してみています。見るとは違います。
次に「診る」ですが、これは診察の意味ですから、病気を調べるわけです。
次に「看る」ですが、これは介護などに使う言葉で、世話をするという意味です。
我々は仕事柄、「診る」ですが、本当は「観る」が大事だと感じています。
治療は病気の診断がつき、ただ治療すれば良いというものではありません。
治る病気でも治らない病気でも、「人を観る」という事がとても大事です。
その方がどんな生い立ちで何を感じて、どう育ってきたのか。
そして病になって何を感じて、どうしようとしているのか。
「診る」は病気の診断だけですから、こう言う意味は含まれていません。
「観る」なら意識をして観察しているわけですから、相手のことが含まれています。
現代医学で患者さんが病院に対して不満を訴えているのは、ここではないでしょうか?
「レントゲンで異常はありません。」は「診る」です。
しかし「観る」があれば、「レントゲンでは大丈夫ですが、様子を観ます。何かあったら言って下さい。」となるはずです。
少し言葉遊びかもしれませんが、全く違うものです。
親子関係でも、「見る」と「観る」は全く違います。
ただ眺めていた、「見る」だと、少しの体調の悪さは感じ取れるはずがありません。
「観て」いれば、「少しいつもと様子が違うけど何かしら。」となるはずです。
ほんの少し、見るから観るに意識を変えるだけで、人は幸福に生きられます。

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