筋肉を鍛えるつもりが炎症

常連さんが珍しくふくらはぎがつるという。今までそんな事を言ったことがないのでまず太腿を診たら異常に硬い。これは階段の上り下りか自転車でも頑張ってこいでいるのだろうと思い聞いたら、何もやっていないという。次にお尻を診たら坐骨神経ではなく、横の中殿筋が硬い。これは足を踏ん張って荷重をかけていることを意味する。階段も上らず何を踏ん張っているのか問い詰めたら、「数ヶ月前に入院して足の衰えを感じたので、普段の生活は畳なのだが、ちゃぶ台に手をつかずにここ数ヶ月は立っている。ちゃんと筋肉は鍛えている。」と言う。これで原因がわかった。年をとると椅子から立つときでさえ、テーブルに手をついてよいしょと立つのに、ちゃぶ台から手を使わず立つというのは、どれだけ足に負担がかかるか分からない本人は「筋肉を鍛えるつもり」なのだが、身体は「炎症」と言っている。日本人の昔の生活は4畳半か6畳にちゃぶ台でご飯夜になればそれを片づけて寝床、人が来れば又ちゃぶ台をだしてもてなすという一部屋が何通りにも使えた。新築マンションでも最近は洋室ばかりで、和室での生活になじみが薄くなった。年をとるとお客さんが来ても和室を嫌がり、椅子がいいという事になってしまう。段々和室が物置になってしまっている。さてこの方だが、解決は簡単である。治療しながらちゃぶ台から立つときに必ず手をつけばそれで治る。ふくらはぎがつらいというので初めは漢方薬を考えていたが、必要はなさそうである。入院の不安から始めた筋トレがあだになってしまった。

image_print印刷する