極めたい患者と楽になれば良い患者

Bi-Digital O-Ring Testをやっているとどうしても原因を調べて欲しいという患者は多い。レントゲン、CT、MRI、超音波を撮っても、血液を調べても原因らしきものが何も出ないと納得が出来ないという。確かにそうではあるが、医療者側も原因がわかってやっているケースは案外と少ない。発熱や痛み、内臓の機能低下、感染、がんに至るまで、原因不明のものは意外と多い。だから出ている症状を鎮めて様子を…

中年女性のお腹の問題

60代70代の女性を診ていると、「お腹の問題が治まればこんなに色々と症状が出ることはないのに・・・。」と良く感じている。閉経後、甘い物の誘惑に負け、中年太りに悩まされ、スカートが入らなくなり、ゴムのスカートを買ったりする。何となく便秘もあり、坐骨神経痛もある。物忘れは段々深刻になり、旅行に行っても階段の多い神社などはお参りが出来なくなる。夜の宴会は元気だが、翌日の便秘には悩んでいる。下腹部を見ると…

人を変えるもの

鬱病治療をしていると何かのきっかけで良くなる方は多い。心療内科だとどうしても薬物治療がメインだが、我々から見ると胃腸機能や粘膜、口腔内の問題を解決してあげればかなり治療成績が上がるのにと思ってしまう。患者さんの中にはきっかけがうまく掴めず、小康状態が続いている方は多いが、時間が長くなると焦ってくる。そんな時によく、「どうやったらきっかけを掴めるのですか?」と聞かれる。そうすると「人を変えるのは人か…

ちょっとした差が大きな差に

どんな技術であっても新しいものを身につけることは困難を伴う。Bi-Digital O-Ring Testを勉強して20年以上経つが、初めはこの技術、本当に身につくのだろうかと思いながら取り組んでいた。下津浦先生という師匠のご指導のおかげで何とか形になってきて、最近では目には見えない病気の原因を探ることが出来るようになり、難しい患者さんの治療成績も以前とは比べものにならないぐらい上がってきた。最近は…

屍は師なり

この言葉を教えてくださったのは元慈恵会医科大学、加藤征教授です。今から30年近く前に私自身、治療法に行き詰まり何から手をつけていいか分からないときに師匠から、「物事を極めるには原書から」と教えて戴き、自分の仕事の原書は解剖だと気がつき、東京中の医学部に電話をして解剖を勉強させて欲しいとお願いしましたが、ことごとく断られました。最後にたまたま慈恵会医科大学にすがるように電話をしたときに、「う~ん、勉…

首に集中

耳鼻科の医者から耳鳴りの患者さんが来た。 耳鳴りはどの先生も悩んでいて患者さんは数ヶ所回る。 今まで1番ひどい方でうちが14ヶ所目という方がいた。 当院も決して成績は良くないが、Bi-Digital O-Ring Testを使い、今までの経験と共に少しでも楽になればと思っている。 まず身体を診ると腕が異常に硬い。 これは慢性的に頚に問題があることを意味している。 次に頚を診ると喘息の反応点がある。…

五十肩と咳

常連さんが五十肩で通っている。2ヶ月ほど来なくてどうしたのかと思っていたら、咳が酷くてこんな時は行ってはいけないと思っていたという。身体を診ると今までより肩は悪化している。五十肩だけでも肩関節の炎症なのに、咳や喉の炎症が加わると肩までひどくなる。結局身体に2ヶ所の炎症でお互いが悪影響を与え続けてしまう。喘息の方は良く来ているので咳き込んだ時こそ治療が必要なのに、控え目な性格ゆえに悪化させてしまった…

花粉症と日舞

日舞をやっている方が最近花粉症がひどいという。稽古はいつも通りやっているそうだが、足の緊張が強い。調べてみると殆ど腸の反応点ばかりである。これは花粉症のせいで粘膜がやられ、腸が過敏に反応したからである。本人は稽古がさほどきつくないのに足が辛いのは不思議と思っていたろうが、原因が違うところにある。花粉症を患っているときは神経も興奮しがちで、稽古は少し軽めがいいとおもう。花粉症のために乳酸菌の治療をす…

腰から足に痛みが移れば改善

知り合いの先生がヘルニアで腰が悪く、最新の治療でアメリカで特許も取っているというDST法という治療を受けた。「術後はどうですか?」と聞いたら、「劇的に良くなった感じはないが、痛みは腰の真ん中からお尻と足に移った。しかし今度はそこが痛くて歩けない。 痛み止めも効かず 夜もうずいて寝られない。」という。一人では杖なしでは歩けず、助手に手伝ってもらって椅子に坐らなければならない。こういう場合、我々から見…

老いと寺子屋

最近仕事をしていてつくづく思うことは、「自分のやっていることは寺子屋だなぁ。」ということである。 何を教えているかと言えば、「老い」である。 長いこと仕事をしてきてわかったことは、「人の老いは皆同じパターン」ということである。 20歳までの成長期は殆ど病気もせず元気でいいが、33歳ぐらいから明確に身体は変化し始める。 まず問題なのが体重増加、酷い方だと20歳より15kg増える。 そうなると坐骨神経…

忘れていた小麦アレルギー

数年前に胃炎が全く治らず調べてもわからなかった方が、ようやく小麦アレルギーとわかり一件落着した。数年してから外国でちょっとした食事の中に小麦が入っていて高熱と共に具合が悪くなった。こういうケースもあるので先生に処方して戴いて抗アレルギー剤をいつも持っていた。今回、イタリア旅行で何かお祭りがあったらしく頂いた物の中に小麦が入っていた。イタリアでの全食事は日本から白米持参だったのに、ちょっとした油断で…

鬱病と思想

男性の鬱病患者で何とか現状を打開しようといろいろな本を読み、ある特定の思想にはまる方が時々いる。「今の日本はダメで、○○主義、思想を目指すべきだ。」「自分がこういう状態になったのは○○体制のせいである。時代の被害者である。」思想自体をどうこう言うつもりはないが、その方の現状を見ていると、親に世話になっていたり、奥さんが働いていたりととても自立しているとは思えない。「今の政治を変えなければならない。…

ウェラー・ザン・ウェル

Weller Than Wellとは誰言うとなく伝えられてきた言葉で、直訳すれば、「健康なときより、いっそう健康」という意味である。 元NHKでがん患者の川竹文夫さんがNPO法人ガンの患者学研究所を立ち上げた。 そして川竹さんがこの言葉を次の様に解釈すると言っている。 「自助努力によってガンを治した人は、ガンになる以前にも増して、心身共に、はるかに健康で幸せな人生を送ることができる」 この患者会は…

「一切れのパン」と心のよりどころ

たしか中学校の国語の教科書に「一切れのパン」という話が載っていた。 第二次世界大戦中、ハンガリーの首都ブダペストで主人公は二十歳くらいのルーマニア人男性。彼には妻がいて、ドナウ川を往来する船で働いている。国際情勢が変化しての話。当時ハンガリーはドイツについていたが、彼の祖国ルーマニアは反ドイツのソ連についたため、彼は敵国人として捕らわれ、運搬列車に押し込まれてしまう。その貨車の中でユダヤ人の老人ラ…

今までの整形外科では扱えない痛み

仕事柄、普通の整形外科であまりうまくいかない患者さんが多い。レントゲン、CT、MRI、超音波診断、血液で問題がなく、あまり痛がればステロイドの注射しかないと言われ、それでもダメなら開ける(手術)と言われる。症状によっては開けなければどうにもならない方はいるが、開けずに何とか方法を探している患者は多い。そうなると試しに鍼灸でもとなる。我々の扱える範囲内であればいいが、当然手に追えない方もいる。そうな…

膝痛で来て血圧が下がった話

ある職人さんが遠方から膝痛で通っている。診ると変形はあるし、殆ど階段の上り下りが出来ないという。医者からはもっと酷くなったら人工関節と言われていて、本人は何とか避けたいという。まず中敷きを作って、脚の筋肉をほぐし、必要なところに鍼をやったが、中々痛みが良くならない。何か全身から治療のヒントがないかと思った診たら、甘い物取りすぎ(膵臓の反応点が硬い)を見つけた。話を聞いたら、職人さんがお客さんのお宅…

講演会と高血圧

これは以前、免疫で有名な安保徹教授から教えて戴いた話したが、「私などはしゃべる機会が多いが、どうも坐ってしゃべると話に迫力が出ない。立ってしゃべると気迫というか迫力が出る。その時の血圧がどれくらいか測ってみたら、最高血圧が180mmHgだった。やはり交感神経興奮というか、アドレナリンというか、このくらいの血圧がないと生徒に伝わらない。」以前、テレビで歌舞伎役者の血圧の話を聞いたことがあった。有名な…

悩み方にはコツがある-2

こういう仕事をしていると普段では中々逢えない方を治療することがある。 これは大分昔に起業家で有名な方から直接教えて戴いた話したが、「社員の話を聞いているとこいつは悩み方を知らないと思ってしまう。悩んでもどうにもならないものは悩むだけ無駄、悩むべき大事な事に気持ちを集中させれば良いのにポイントがずれている。悩み方にはコツがある。」 例えば私に置き換えると日本の政治をよくするとか、資本主義をどうすると…

騒がれても困るし騒がれなくても・・・

これは以前有名な女優さんから聞いた話したが、マウイ島に別荘を買ったときに、日本にいるとどのレストランに行っても「あ、○○さんだ。」と言われ気を使ったが、さすがにマウイ島ではそれがなく気が楽だと言う。しかしマウイ島に来るお客さんは数が限られ、時期も正月、ゴールデンウィーク、お盆だけでお店がつぶれてしまうと言う。それが残念だという話をしてくれた。オアフ島ならやはり、「あ、○○さんだ。」と言われてしまう…

腫瘍マーカーが上がってがんになったら治療しましょう

Bi-Digital O-Ring Testをやっていると早期のがんの発見から、腫瘍マーカー(がんになると血液中に出てくる物質を測る)を下げ、がんを暴れさせない工夫が沢山ある。しかし現実問題、病院での診察で、「少し腫瘍マーカーが上がり始めていますが、少し様子を診ましょう。がん化すれば手術します。」と言われると、「いえいえ、先生腫瘍マーカーを抑えるにはどうしたら良いかを教えて下さい。手術は避けたいで…