キーワード がん

先生を追いかける話

腰の脊椎を手術した年配の方が最近よく来ている。手術したところはうまくいって痛みもなくなったそうだが、その上の部分が良くないので、今度腰痛が悪化したらそこを切ると言われているという。本人はもう手術は受けたくないので、何とか鍼でしのぎたいと言う。話を聞いたら、手術した先生は少し遠いところに行ってしまい、追いかけなかったという。この話を聞いて、「貴方の腰の場合は先生を追いかけるべきです。外国に行ってしま…

難病とおしゃれ

ここ15年位だろうか、難病患者がおしゃれをしていると感じる。もちろん病気をしているからおしゃれをしてはダメと言うことはない。最近の大病院は建物の上の階に展望のいいレストランを作ったり、美容室、ネイルサロンを併設しているところもある。これは一昔前では考えられなかったことである。仕事柄、築地のがんセンターにはよく行くが、おしゃれなカフェもある。抗がん剤で毛が抜けても以前に比べて格好が良いカツラは多い。…

一つの病気を治すと次が出てくる

常連さんの友人が、白血病で困っているという。専門病院では診て戴いているのだが体力がつかず、その病院にリハビリがないものだからどうやって体力を上げるかで困っているという。こういう問題はよく起こる。例えば乳がんの手術後に、乳房再建がよく話に出る。最近は乳がん切除と乳房再建を同時にやってくれるところもある。この知識があれば、初めからそういう病院を選ぶ。股関節の手術でも両側同時に出来るところもある。これを…

古今東西、食の諺

前日、がんのセミナーを受けていたら食に関しての講義があった。3800年前のエジプトで下記の文言が見つかったという。洋の東西を問わず、食に対して戒めている。 「われわれは食べる量の4分の1で生き、4分の3は医者のために食べる」ピラミッドの碑文 「腹八分目は医者知らず」江戸時代の医者 「断食で治らない病気は、医者でも治せない」ドイツの諺 「断食はメスを使わない手術である」フランスの諺 「すべての薬で一…

身体は形が大事

長年治療をしていると「臓器の形」がとても気になる。腎臓や肺、肝臓なども形が大事で変形していれば、奇形や腫瘍、がんを疑う。1番わかりやすい話は「耳」で先天的に耳のない患者の「耳介形成術」はその形によって聞こえる能力が天と地ほど違うという。音を拾って増幅するのは形で決まってしまう。高名な先生に手術を頼むと数百万から数千万円という話を聞く。患者が子供の場合、その子の人生にも関わる話なので親にとっては高額…

逃げ切り組

子宮筋腫や股関節の手術は常に時間との闘いである。子宮筋腫もある程度閉経(50才程)すれば小さくなるケースが多いので、42-3才で筋腫がある程度の大きさの場合に医者は、「あと数年か、極端に大きくならなければ逃げ切れるかなぁ。」と考える。これが35才ぐらいで勢いよく成長している場合は、手術の話になってしまう。股関節の人工関節も同じようなことが言えて、昔は人工関節は10年ももたなかった。50才で初めて手…

病気は単発ではない

人が亡くなるのは昔は、「脳卒中」「心臓病」「がん」の順番だった。最近は「がん」が断トツである。結局、「免疫」か「血管」の問題であることが分かる。もちろん免疫もいい状態を保てれば、血管は年齢なりになるが、糖尿病や高脂血症があるようでは血管は持たず、短命になってしまう。最近は「慢性炎症」という言葉で、寿命に関する論文が多いが、多くの方が、「病気は単発」と思っている。例えば糖尿病、少し血糖値が下がればも…

症状に鈍感で病名に敏感

常連さんが少し眼の具合が悪いので、「じゃ、眼医者で調べて」と伝えて、そのままになっていた。今日久しぶりにその話になったとき、「緑内障と言われてショックでショックで・・・」と言う。こういう場合、以前ブログに書いたが、調べれば調べるだけ難病の情報が出てくる。緑内障だとおそらく、「失明」まで読んだであろう。しかし話を聞くと点眼液で眼圧は十分に下がり、月に1度程度の診察で経過観察をするという。これは我々か…

ゴールが見えている病気

常連さんが甲状腺の問題で悩んでいる。我々からすると甲状腺は最悪でも手術で取って薬を飲んで終わり。余程甲状腺がんが周りに浸潤しない限り、問題は起こらない。軽ければ投薬で調整が出来る。どんなに悪くでもこの範囲に収まるというのがわかっている。股関節も同じである。相当悪化しても人工関節がある。歯も同じで最悪インプラントがある。結局、「ゴールが見えている病気」は見えていないものに比べ楽である。がんが全身に広…

煙草と胃炎

これは大分前の話しだが、30才ぐらいで開業して何とか軌道に乗せたくて神頼みをした。ただお願いするだけではダメだろうと思い、当時出来なかった禁煙をしますからという願かけをしてお願いをした。止めてみてすぐに体調の変化に気がついた。当時は遅い時間まで仕事をしていたので、数ヶ月に一度は胃炎を起こしていて、まぁこんなものだろうと思っていたが、煙草を止めてからは全く胃炎が起こらない。煙草が肺に悪い事をするのは…

調べれば調べるだけ難病が出てくる

インターネットの発達と共に、患者が自分で色々と病気を調べられるようになった。気になる症状を入れるだけで病態から治療法、何処の病院がいいかまで簡単に調べられる。しかし我々から見ると少し困った事がある。それは、「調べれば調べるだけ難病が出てくる」ということである。例えば簡単な風邪なら、「安静、葛根湯」程度で書くことがない。しかし咳が止まらず調べ出すと肺がんまで行ってしまう。もちろん肺がんのケースはある…

眼振について

眼振(がんしん)とは「眼球が痙攣したように動いたり揺れたりすること」を言います。今日来た常連さんは、「耳鼻科の先生が何故か目を診て、薬を1回やめてみましょう」と言ったという。何故目を診たのかは聞かなかったが少し不思議だったという。これは眼振検査は眼の検査以外に、「眩暈(めまい)つまり耳の検査や脳梗塞など血管の検査」に使われるからです。この患者は身体がフワフワするという症状があり、耳鼻科の先生が眩暈…

鎮痛剤や神経ブロックは「休戦状態」

仕事柄、患者さんが「鎮痛剤は病気を治していない」と言われるが我々は違う考え方を持っている。身体が痛みに耐えていると神経は興奮するし、胃腸は動かないし、免疫は下がるし、良いことなど何もない。以前から、「我慢弱い生き方」を言い続けているが、中々日本人の中にある、「痛みに耐える文化」や「痛いと言うことが恥、はしたない」から中々抜けだせない。痛ければ薬でも神経ブロックでもすればいいと思うが、「それは病気の…

治療をやめる話

今日来た常連さんは、少しお腹が硬い。もちろん自覚症状などないが、このまま悪化することもある。少し悪い段階で病気の目を摘んでしまえば簡単に良くなる。そんな話をしたら、「じゃ、このままにしたら悪化するのですか?」と聞くので、「悪化するか良くなるかは本人の生活と体力次第。あなたの場合はまめにうちに来るからもう10年ぐらい大病しないでしょう。本当はこういう場合、治療を3ヶ月ぐらいやめるといいのです。乳酸菌…

どこへ行っていいか分からない

今日来た方は胃炎と声がれがあり、胃炎は薬でよくなった。声がれがあるので、「内視鏡で見てもらったら?」と言ったら、「胃カメラはやったばかり。」と言う。胃カメラは喉から食道・胃と行ってしまい声帯を診れない。耳鼻科で診てもらわないと分からない。そんな説明をして、「胃炎があったことを耳鼻科で言って下さい。」と言ったら、「え、耳鼻科で胃炎を言うのですか?関係ありますか?」というので、「声帯炎はよく逆流性食道…

患者さんが求めているのは医療

以前、医学と医療でも書いたが、患者さんが求めているのは医療である。例えばリウマチを患っている場合、病院に行くと、「この患者はリウマチ」というレッテルを貼られる。リウマチだから○○の検査をして、リウマチだから△△の薬を飲む。リウマチだから□□は仕方がない。これは医学であって、医療ではない。医学で病気を追っかけると人が消えてしまう。その方が何を感じ、何を思っているかは大事ではなく、どう病状が変化したか…

目新しい物が好きな方は危険

今日来た細身の女性の常連さんは、何か新しいことにすぐ眼がいく。インスタグラムなど目新しいものがあるとすぐに飛びつく。健康法に関しても同じで何かの情報を見るとすぐ買ってしまう。先日も青汁を買ったという。我々から見ると青汁が身体にいい場合は意外と少なくて以前、15種類ぐらいを調べたが、2-3個程度しか見つからなかった。当院ではORT生命科学研究所お薦めの、「大麦若葉エキス バーリィグリーン」しか使って…

声と体調

常連さんが最近、「声が通る」と人から褒められるという。我々からするとこの声は体調と連動している。体調が悪い時は何となく声にも勢いがなくなり、体調が良いと「張りのある声」という言い方をする。往年の歌手が久しぶりに歌うと昔みたいに声が出ない場面を時々見るが、声というのは明確に体調のバロメーターである。声に張りのある方であまり酷い病人は見たことがない。以前声楽家の川井弘子先生から、「身体は楽器」なので体…