症例

身体の中を診て治療する時代

長年東洋医学を学んでいるとどうしても、技術が職人芸とか、名人芸という話になってしまう。 ○○先生の治療技術は凄かった、他の先生が真似できない。 昭和の名人の名にふさわしい技術を持っていた。 あのような名人はもう出ない。 しかし最近私が学んでいる超音波診断装置を使って鍼を打つ技術は、新人の先生もベテランにしてしまう可能性がある。 身体の中の特に筋肉・神経の様子が手に取るようにわかり、何処に問題がある…

ぎっくり腰と身体のお知らせ

中年の男性が3年ぶりにぎっくり腰を起こしたという。身体を診たら腸は動いていないし、足の左右差はある。これでは腰に負担がかかると治療していたら、左脚のみ痛みが取れ右脚が反応しない。この左右差は歴史が長いので、学生時代のスポーツを聞いたら、バレーボールでアタッカーをしていたという。右足で踏み込むのが癖だったという。これで左右差の理由がわかったので次に腸である。食生活があやしいと思って聞いたら、理想的な…

15年後に取り返しがつかなくなる腰痛

10年ぶりに来た方が腰が痛いという。調べてみると論外なぐらい酷い。よくここまで耐えたものだと思う。我慢強いにも程がある。体操の先生をしているが、最近は自分で身体が動かせなくて若い人にあたりまくっているという。気持ちは分かる。本人もこのまま仕事を続けられないのではないかと不安を持っているが、腰を触ってはっきり、「今年一杯で改善しかければ身体を使う仕事は出来ません。今後の仕事は腰をを酷使しないものを選…

足を車にひかれた後の処置

年配の方が足を車にひかれたという。レントゲンで問題はなかったが、病院で何もしてくれないと言う。ただ1ヶ月後にまた写真を撮るだけだという。本人は不安になって、来たが予想通り悪い方は熱を持っている。測ったらいい方より3度も高いので慌て冷湿布をした。本人も湿布はしていたらしいのだが、皮膚がかぶれるからガーゼを間に入れていたがうまくいかないという。そういう場合は冷湿布のセロハンを取らないでやるといいと話し…

がんと鎮痛剤

父を肺がんで亡くして5年近くが経つ。肩が痛いと言って検査をしてもらったら肺がんの末期だったので、程なく、緩和ケアーに移った。抗がん剤などは全て拒否したので、入院をしていても鎮痛剤ぐらいしかやる事がない。ある時担当の先生に、「今使っている鎮痛剤がよく効いていて痛みを訴えませんが、レベル的にはどれぐらいですか?」と聞いたら、「10段階で1です。今後痛みに関して何とでもなりますから全くご心配は入りません…

痛みを楽しむ

常連さんの中には来院されて、「今日はどうですか?」と聞くと、「う~ん、え~と、2日前は首が痛かったけど、今は大丈夫。」という方が時々はいる。 鍼灸院に来て自分の痛いところがすぐに出てこないのだから、実に素晴らしい健康管理をしている。 しかし生身の人間である以上、何かの拍子に痛みを感じた時は一気に不安になり大騒ぎである。 「今まで何ともなかったのに、○○の痛みが続いている。」 「膝の痛みに薬を飲んだ…

親の地元の物を食べると元気になる話

東京で開業していると生まれも育ちも東京という方は多い。長年乳酸菌を投与している方の中には慣れてしまい、効果がわからなくなってしまっている方もいる。そういう場合、田舎出身であれば子供の頃に食べた物の中に身体を元気にしてくれる物が多いのだが、東京出身の場合はその親の出身地の物を勧めている。自分が父親か母親どちらに似ているかで、似ている親の地元の物を食べてみる。例えば自分が母親似で母親が秋田出身なら、母…

筋トレとがん治療

前回、がんは粘膜の問題と書いたが、もう少しわかりやすく説明して欲しいとの問いがあったので説明します。我々から見ると筋トレは家で例えれば壁を鍛えているようなものである。見た目はバリバリでいかにも丈夫そうに見える。多少の台風にはびくともしない感じである。しかし屋根が少し雨漏りする。いくら壁を鍛えても、屋根をいじらない限り雨は漏る。粘膜を鍛えるというのは屋根を万全にすることに似ている。壁はそのままでも、…

がんは粘膜の問題

当院の患者さんでメルマガの購読者から、「私の親友で胆嚢がんで手術不可能な方がいる。お酒は飲むが、筋トレをかかさず、マラソンが趣味なのに・・・」と言う。しかし私から診たら、がんは粘膜の病気なので、筋肉をいくら鍛えてもがん予防にはならない。心臓を鍛えるぐらいである。スポーツ選手でもがんになっている。大事なのは粘膜を鍛えることである。だからEAT(Bスポット療法)、歯周病、腸の治療が効果を上げてくる。こ…

中から悪い物が出る

前回、治療の腹芸の所で書いた五十肩の患者さんが注射を打ってきた。効果は予想通りで痛みはもう半分以下になったという。肩のあるところ(結節間溝)の治療は鍼ではうまくいかず、注射の方が遙かに優れている。全て予定通りだったが、その後すぐに腰が突然痛くなったという。その話を聞いて、「腰の痛みは1.5日続いたでしょう。そして痛みが出る前より楽になったでしょう。そして今は治っているでしょう。」と聞いたら、「全く…

マラソンと胃炎

北海道マラソンに出て完走した方が、その後から腰や足の調子が悪いという。話を聞くと、マラソンの後、暴飲暴食をして胃をこわしたという。それから何となく調子が悪いのを工夫して筋トレしたが、全然良くならないので来たという。以下はその方の身体の所見である。 スタマックラインに強い反応 お尻の胃炎と左右差の点にのみ反応(坐骨神経痛の反応なし) ハムストリングに強い反応 按腹でお腹を触ったらガチガチ 左腰痛-腸…

時差ぼけについて

これだけ飛行機の発達で世界が狭くなると、時差ぼけを訴えてくる方は多い。皆さんの訴え一番多いのが、帰国してからが辛いと言う。アメリカでもヨーロッパでも現地にいる時はいいのだが、夕方ぐらいに成田に着いて午後8時ぐらいに寝てしまうと、夜中に目が覚めてしまう。アメリカでは丁度活動時間だったから、それから全く眠れなくなってしまう。お酒でも飲んで調整が出来れば良いが、飲めない方は困る。私自身も経験があるが、そ…

身体で決まるステージアップについて

以前、治療効果は階段的変化で書いたが、人の身体が変わるときは良くなるときも悪くなるときも、上り坂や下り坂のような変化ではない。階段的変化である。これは以前、ある社長から教えて戴いた。いくら努力しても変化しないときがある。しかし努力を止めてしまうと成長しない。努力を続けていくとある瞬間にジャンプするという。まるで階段を上るようだという。だから頑張って成長していないように見えても、次のジャンプを目指し…

側弯症の方に、「あなたは長生き出来る」と伝えた話

今何人か、側弯症の方が通っている。我々が治療したところで背骨が真っ直ぐになるわけではないが、細かい生活指導はしている。以前に下記のように内容で側弯症について書いた。 側弯症と出産 小鳥タイプで側弯症の生き方 側弯症と腹圧 弱点を何とかするより長所に負担をかける話 小さな努力の積み重ねで結果を出す 結局、自分は背骨が真っ直ぐな方より多少内臓や運動機能が落ちていると自覚する。そして弱いところを補う努力…

なんちゃってマクロビの勧め

マクロビとは「マクロビオティック」の略である。以下はwikipediaからの参照である。 マクロビオティックとは玄米を主食、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本とし、独自の陰陽論を元に食材や調理法のバランスを考える食事法である。 玄米や雑穀、全粒粉の小麦製品などを主食とする。 野菜、穀物、豆類などの農産物、海草類を食べる。有機農産物や自然農法による食品が望ましい。 なるべく近隣の地域で収穫さ…

子供の腹痛

小学校高学年で初潮が始まった頃からお腹の調子が悪いという女子は多い。殆どが食べ物や精神的なもの、冷えなどが原因だが、便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群の子も多い。時々、ビックリするぐらいお腹が冷たい子を診ることがある。触った途端にこちらがドキッとしてしまう。臍の奥に何か冷たい固まりを感じる。内臓的には小腸だが、こんなに硬くて大丈夫かなぁと思ってしまう。こういう場合は胃も硬い。この若さでまるで内蔵が…

風邪を出し切るという考え方

この時期時々風邪の方が来る。医者にちゃんと行って薬をもらうが何となくくすぶっている方は多い。これは私の職業的な考え方かも知れないが、風邪を引くと身体がどう変化するか観察する。もちろん咳がひどくどうにもならない時は抗生剤を飲むが、多少の発熱や咳、喉の痛み程度なら病気に暴れさせる。そうすると風邪は4日間ほどで治まることがわかり、病気に暴れさせた後の爽快感は何とも言えないくらい気分が良い。薬で症状を抑え…

指の握力と周辺の環境

頚椎損傷で右手の握力が5kgしかない方のリハビリをしている。握力が7kgを割るとコップを落とすので、日常生活に問題が出る。半年間のリハビリで何とか18kgまで回復してこちらは絶好調と思っているが、中々本人は納得がいかない。身体を調べてみると握力のない右手の問題ではなく、左手の使いすぎである。また肩の左右差で首がゆがみ、頭の血行不良により、目まで疲れやすくなっている。左手を使いすぎると心臓の反応(左…

健康サンダルと足首の痛み

一時期健康サンダルが流行った。私もいくつか買ったが、長続きしない。長時間履いていると痛くなってしまう。今日来た患者さんが娘に買ってもらって履いていたら足首の負担がかかるという。この方は日舞をやるので、足首や膝にはかなり負担をかけている方である。調べてみるとやはり足首に軽い炎症が起こっている。良い機会なので足のクリニックを紹介した。よく考えるとここを紹介したことにより、慢性の膝痛が楽になれば健康サン…